横浜ゴムと成長目指す愛知タイヤ工業 強みを融合し市場開拓へ

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カテゴリー: 事業戦略, 特集

 横浜ゴムが昨年3月に買収した愛知タイヤ工業(愛知県小牧市)は、倉庫などで使用される産業車両向けタイヤの老舗。このカテゴリーで国内トップクラスのメーカーが横浜ゴムの傘下に入った理由はどこにあるのか、また横浜ゴムにとってどういったメリットがあるのか――。「成長の可能性はまだまだある」と意欲を示す黒川泰弘会長(横浜ゴム執行役員)に今後の展望を聞いた。

将来は生産拡大も視野に

 ――横浜ゴムが愛知タイヤ工業を買収した背景をお聞きします。両社にとってどのようなメリットがあったのですか。

黒川会長
愛知タイヤ工業の黒川会長

 「これから横浜ゴムが生き残り、更に成長していくためには生産財タイヤ事業の強化が必要でした。2016年に農業機械用などオフハイウェイタイヤに強いアライアンスタイヤグループ(ATG)を買収したのもその一環です。国内ではフォークリフト用タイヤをはじめとした産業車両用タイヤのカテゴリーはこれまで我々の弱点でした。横浜ゴムのパズルで欠けていたピースだったと認識していますが、そうした中、今回の愛知タイヤ工業の買収があり、パズルが完成しました。

 一方、愛知タイヤ工業は1942年に設立し、フォークリフトメーカーのライン(OE)に数多く採用され、リプレイス市場ではお客様のニーズを商品にフィードバックして改良を重ねてきた会社です。

 ただ、今後の事業環境が厳しくなっていくという考えがあったと思います。産業車両用タイヤの中では老舗であり、特にノーパンクタイヤのパイオニア的存在ですが、規模は大きくありません。先を考えた時に、どこかと手を組むことを考えており、その相手が横浜ゴムでした。横浜ゴムの傘下に入ることで今までのような不安が解消されたと思いますし、お互いが求めていたニーズが合致したというのが買収の大きな理由です」

 ――横浜ゴムとしては産業車両用タイヤが弱点だったのですか。

 「従来、国内のリプレイス部隊は産業車両用タイヤを積極的に販売していませんでした。ノーパンクタイヤの商品自体はオフテイクで対応していましたが、あまり目が行っていなかったのは事実です」

 ――愛知タイヤ工業の強みは。

 「産業車両用は、乗用車用タイヤやトラック・バス用タイヤとは違った独特の商流があります。愛知タイヤ工業はこの分野で高い信頼とブランド力があり、今まで培ってきた販売力があります。

 ノーパンクタイヤはタイヤとホイールをセットして顧客に出荷しますが、ホイールはメーカーによって異なりますので、その組み合わせは数千種類にのぼります。

 当社の営業部門は『この機種にはこのタイヤとホイール』といった詳細なデータとノウハウを持っています。長年純正装着されているので、色々なデータを蓄積しており、ユーザーの機種を聞けば、どのタイヤとホイールがマッチングするのかすぐに分かります。それが強い部分です」


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