――フォークリフトをはじめとした産業車両用タイヤの需要動向は。
「将来的にフォークリフトの販売台数がどう変化していくのか見通せませんが、国内での需要が大きく伸びることはないと思っています。運送業界などと同じく人手不足が顕著で、フォークリフトのオペレーターも減少してきています。
一方で車両の自動化といった動きも出てくると思いますが、今のままでは推移しないと考えています」
――今後、大きな需要の伸びが見込めない中で、どう販売を伸ばしていきますか。
「愛知タイヤ工業には、お客様のニーズを汲み上げていくという今まで培ってきた強みがあります。そこは今後もきちんと守っていくべきだと思っています。
これまでメインの顧客はフォークリフトディーラーで、そのディーラーがエンドユーザーへのサービスを行っています。
一方、フォークリフトだけを購入してメンテナンスは自社で行うというユーザーも少なくありません。そこは今まで手を付けられていなかったので、これから横浜ゴムの営業と一緒に開拓していきます。
また横浜ゴムのトラック用タイヤのお客様にもフォークリフトの需要があります。今後は顧客に対してトラック用タイヤ、フォークリフト用タイヤと生産財タイヤをトータルで提供できるようになります。横浜ゴムの営業と一体となって取り組むことでまだまだ伸びしろがあると期待しています」
「愛知タイヤ工業は、これまではどちらかというと現状維持で来ていた会社です。なぜかと言うと、規模が小さくて手が打てなかったからです。ただ、横浜ゴムの傘下に入り、国内営業と一体となって戦略を進めていける。資金面も含めて今まではできなかったことが実現できるようになります。以前はそういう発想ではなかったと思いますが、今は『成長するためにこういうことをやろう』という案が出てきています。
これからは横浜ゴムの産業車両用タイヤ事業として大きくしていこうと。その中心になるのが当社です。
そのために国内のリプレイス部門と打ち合わせを重ねており、手始めに愛知タイヤ工業製のフォークリフトタイヤに関する勉強会を行っています。生産財タイヤに関わる人員が増えるのでアプローチできるユーザーも大きく増えると見込んでいます。
中期的な目標となりますが、販売が増えれば、生産能力をどうするのかといった点も考えていかなければなりません。今後間違いなく拡大していくことになります」
――将来への展望を。
「ここに赴任するまでは産業車両用タイヤというカテゴリーをそれほど理解していたわけではありませんでした。愛知タイヤ工業は一見すると町工場のような会社ですが、お客様を訪問すると非常に信頼感が高いと実感しています。
その一方で規模の面では成長していくための絵が描けていなかった。ですが、横浜ゴムの傘下になったということは成長が求められ、それを実現する可能性は十分にあります。
また、愛知タイヤ工業のメンバーからの期待感も非常に大きいと感じています。一緒に成長したいという気持ちが強い。そうした思いが合致していますので、一緒になることでまだまだ成長の可能性がある楽しみな世界です」
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