オールシーズンタイヤ 国内市場の新たな選択肢へ

 近年、国内の市販用タイヤ市場に乗用車用オールシーズンタイヤを投入する動きが活発だ。2016年からオールシーズンタイヤの販売を加速させている日本グッドイヤーや、国内でファルケンブランドの訴求を強める住友ゴム工業に加え、日本ミシュランタイヤやマキシスインターナショナルジャパンなども参入。オールシーズンタイヤのラインアップを拡充したオートバックスセブンの新しい取り組みとメーカー各社が上市する商品の特徴を取材した。

オートバックス ユーザーの使用環境に合った提案を

 ――3月8日からミシュランブランドのオールシーズンタイヤ「CROSSCLIMATE」(クロスクライメート)シリーズと台湾マキシスの「ALL SEASON AP2」(オールシーズン・エーピーツー)を販売し始めた。

TOB・ホイール・スポーツ商品部長 遠藤哲夫氏

 「当社は、ミシュランとマキシスブランドのオールシーズンタイヤを取り扱う前に、グッドイヤーの『Vector4Seasons Hybrid』(ベクターフォーシーズンズ・ハイブリッド)と、ピレリの『Cinturato All SEASON』(チントゥラート・オールシーズン)、ファルケンの『EUROWINTER HS449』(ユーロウインター・エイチエスヨンヨンキュウ)の3商品を販売していた。

 販売ボリュームは多くはなく、タイヤ部門全体に占める構成比はわずかである。ただ、その中でも、実店舗とネット通販を合わせた2017年度の販売量は、前年比1.5~2倍程度に増えた。

 一方で、消費者のオールシーズンタイヤに対する認知や関心は近年、高まってきていると感じている。ネット通販の売上げが伸びたのに加え、東名阪を中心とした非降雪エリアのオートバックスの販売店ではユーザーからの問い合わせも増えている状況だ。

 この顧客ニーズの変化を踏まえて、これまでの夏タイヤと冬タイヤに加えて、新たなカテゴリーとしてオールシーズンタイヤを展開することにチャレンジした。

 そのため、まずは品揃えを充実させ価格のバリエーションを広げていこうと考え、今回は2ブランドを追加して5商品のラインアップに増やした。これにより、オールシーズンタイヤカテゴリーにおいて、低価格帯から中・高級価格帯までの商品ミックスができるようになり、消費者にとっては選びやすくなると考えている」

 ――夏タイヤと冬タイヤとの売り分けは。

 「オールシーズンタイヤは、冬タイヤの代わりとなるのではなく、夏タイヤの高付加価値商品として販売していきたい。したがって、冬タイヤから夏タイヤへの履き替え時期である3月にラインアップを拡充させた。

東京都小平市のオートバックス店舗にあるオールシーズンタイヤの展示コーナー

 主なターゲット層は非降雪エリアで暮らしているユーザーを想定している。特に、突然の降雪に備えたいユーザーに対してはひとつの選択肢としてご提案できる。

 また、タイヤ公正取引協議会の調査によると、首都圏をはじめとした太平洋側地域では約3割のドライバーが冬シーズンに向けて冬タイヤやタイヤチェーンを準備していないことが分かった。そういったユーザーも潜在的な顧客として考えている。

ただ、オールシーズンタイヤは夏タイヤと冬タイヤの中間とイメージされる商品なので、ユーザーの乗り方に適した商品をご提案していくことが必要だと考える。例えば、雪道での走行頻度が高い方にはやはり冬タイヤをお勧めする」

 ――オートバックスセブンは全国で約600カ所のチェーン店を構えているが、その中で、オールシーズンタイヤを導入する店舗は。

 「専用の売場コーナーを設けて販売するのは非降雪エリアの店舗がメインとなっているが、大都市を中心に販売体制が整った店舗から順次導入していく。

 オールシーズンタイヤの認知度は以前より上がっているものの、名前だけ知っている、あるいは冬タイヤの代わりになる商品というイメージを持たれている方は少なくない。

 店頭では夏、冬タイヤとの性能比較やチェーン規制の通行可否を記載したパネルを用意し、オールシーズンタイヤのメリットとデメリットをしっかり伝えていく。さらに、我々のスタッフもオールシーズンタイヤの特性など、商品知識を身に着けていかなければならない」

 ――今後の展望について。

 「今回は当社にとって新たな挑戦でもあり、実際に市場でどの程度のニーズがあるのかを模索しながら展開していく。まず店舗売場の一角にオールシーズンタイヤの商品群を展示することで、ユーザーの購入のきっかけに繋がればと考えている。

 夏タイヤ、冬タイヤ、そして新しく立ち上げたオールシーズンタイヤの3つをうまく提案できるような販売体制の確立を目指していきたい」


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