日本ミシュランタイヤ 雪道も走れる“夏タイヤ”として提案
「タイヤに求められるすべての性能を、妥協しない」という理念の下、ユーザーにとってのベネフィットを提供し続けてきた仏ミシュラン。この3月に日本ミシュランタイヤが国内に投入した乗用車用オールシーズンタイヤ「CROSSCLIMATE」シリーズもそのポリシーがベースになっている。
同シリーズは、“雪道も走れる夏タイヤ”をコンセプトとし、夏タイヤに要求されるドライ・ウェット路面での高いブレーキング性能を確保しながら、雪上でも安心感のあるトラクションを追求している。特にトレッド部に施したサイプ技術により、摩耗しても雪上性能を持続させていることが大きな特徴だ。同社の低燃費タイヤ「ENERGY SAVER+」よりも高いロングライフを実現している。
今回は、「CROSSCLIMATE」「CROSSCLIMATE SUV」「CROSSCLIMATE+(プラス)」の3商品を展開し、シリーズ全体のサイズ数は14~17インチの21サイズ。なお、高速道路の冬タイヤ規制に対応するのは、15インチ以上の「CROSSCLIMATE+」と「CROSSCLIMATE SUV」となる。
日本ミシュランタイヤの乗用車・商用車タイヤ事業部マーケティング部でブランド戦略を担当する黒谷繁希マネージャーは、「メインターゲットとなる非降雪エリアのお客様は夏タイヤを使用する期間が圧倒的に長いので、安全面を考慮すると、夏タイヤとしての機能は絶対にトレードオフしてはいけない。その上で、新たな価値として雪上性能を付加した」と話す。
同社は様々なユーザーニーズを分析する中、都心部に住むユーザーの中で「タイヤチェーンの装着が苦手」「タイヤの保管場所に悩む」「突然の降雪に備えたい」といったニーズが見られた。「お客様が本来望んでいる、もしくはご自身が気づいていないニーズを顕在化させるという形で、これまでにないコンセプトを持ってきた」のが導入の背景だ。
今回はオートバックスセブンで先行販売となったのは、「オールシーズンタイヤを新しいカテゴリーとして創造していく」という両社の想いが合致したからだ。今後、オートバックスを通じてユーザーからの声をフィードバックしつつ、ニーズに応じてサイズ拡充も検討していく。
国内市場ではオールシーズンタイヤの認知度は普及が進んでいる欧米に比べて低いが、最近は関心を持つユーザーも少しずつ増えてきているという。「CROSSCLIMATE」シリーズを発売開始して以降、ユーザーや販売店からの問い合わせもあった。
黒谷マネージャーは「これから成長の機会があると考えている。高い安全性を有する『CROSSCLIMATE』の商品価値をお客様にご理解頂いて、将来的にはオールシーズンタイヤカテゴリーを引っ張っていけるようになりたい」と意気込みを示した。
マキシス 欧州で60万本の販売実績 現地のテストで高く評価
台湾最大手のタイヤメーカー、正新ゴム工業が主力ブランド「MAXXIS」(マキシス)で展開するオールシーズンタイヤ「ALL SEASON AP2」。同社は約2年間をかけて開発を行い、2015年に欧州市場で先行発売した。既に欧州全体で年間約60万本の販売実績を達成している。
一方、日本においてはカー用品量販店のオートバックスセブンが今年3月に専売タイヤとして販売を始めた。それに先駆けて、日本法人のマキシスインターナショナルジャパン(神奈川県伊勢原市、蔡慶文社長)は国内で性能テストやモニタリングなどを行ってきた。
蔡社長は「『AP2』はもともと欧州市場向けに開発した商品なので、実際に日本市場に適しているかを確かめたかった」と話す。
同社が2016年2月に長野県の女神湖で実施した雪上走行テストでは、オールシーズンタイヤで特に重要視される雪道でのグリップ力を確認した。その結果、「氷上でも横滑りすることがなく、スムーズな旋回を行うことができた」と手応えを得ている。
雪上性能を含め全体的な性能を発揮させるために重要な役割を担うのは、新たに開発したトレッドパターンとコンパウンドだ。トレッドのセンター部には3Dサイプを採用することにより、エッジ効果を高め、ブレーキング性能やハンドリング性能を向上させた。また2本のワイドストレートグルーブに加え、両側に横溝を設けることで、雪上性能や排水性能を高めている。
コンパウンドには分散性を高めたシリカを配合。転がり抵抗とウェット性能の両立を図るとともに、ドライ・ウェット路面での高いグリップ力を実現した。
「AP2」は、2015年に英国の有力なカー雑誌「Auto Express」(オート・エクスプレス)が各社のオールシーズンタイヤを対象に行った性能評価において、雪道周回とドライブレーキングの項目でそれぞれ2位、3位にランクインしており、他社の製品に引けを取らない性能を実証している。
また、欧州で冬タイヤとして認定される「スノーフレークマーク」の表示を獲得しているため、国内での高速道路の冬タイヤ規制にも対応する。