EV化や自動運転に対して独自ビジネスが追い風に
――トラック・バス用タイヤの新商品の計画は。
「数年後にウィンタータイヤの上市を計画していますが、プラットフォームを超えても使用を続けることができる商品です。
ミシュランとしては『摩耗しても性能が続くタイヤ』というコンセプトがあります。乗用車用タイヤなどで既に発売していますが、これを2020年くらいにはトラック・バス用タイヤでも発売したいと考えています。
これはいわゆるライフ性能とは異なります。『効きが長持ちする』という意味で、スタッドレスタイヤとして使用できる期間は2割ほど伸びるのではないかと思います。
タイヤ溝を少しでも深くすることは大変な技術が必要ですが、そこに挑戦しています。お客様のメリットになり、販売店にとっても『ミシュランは効きが長いので最後まで装着して大丈夫』と安心して頂けると思っています。
また時期は未定ですが、基幹商品のミックスタイヤを一新する計画です。ご購入頂きやすい価格帯を想定しており、これによって一気に需要を拡大したいと思っています」
――性能が持続するとその分、交換サイクルが伸びる可能性があります。販売数量とのバランスをどう考えていますか。
「我々としてはもちろん多く販売したい。ですが、自分たちの利益を優先するのではなく、本当に良いタイヤであれば結果的に売れると考えています。
過去にミシュランがラジアル技術を発明した際も多くの方に反対されましたが、それを押し切って販売したことで世界的なプレーヤーになることができました。それと同じことです」
――昨年からBFグッドリッチブランドのトラック用タイヤを発売しましたが効果は。
「安くて性能が良いタイヤだと認知が広がってきました。昨年と比べて2倍以上売れていますし、今後は倍々ゲームで増やしていけると期待しています。
ミシュランブランドはリトレッドやリグルーブまで含めた3Rのコンセプトを説明して使用して頂きますが、価格を意識されるユーザーにはBFグッドリッチを提案していくという戦略です」
――来年には産業機械向けにエアレスタイヤを投入します。
「スキッドステアローダーやフォークリフトに装着されているバイアスやノーパンクタイヤは振動が大きく乗り心地が悪いのが課題ですが、エアレスタイヤはそれを解決できます。
日本では初のエアレスラジアルタイヤの実用化となります。シングルタイヤもリトレッドもミシュランが先駆けですし、我々は技術面でのリーダーだと自負していますので、ライバルメーカーより後ということは基本的にありえません」
――将来、自動運転技術が普及していくと見込まれる中、生産財タイヤのビジネスはどう変化しますか。
「今後、電気自動車やハイブリッドカーに向かっていくことは間違いないと思いますし、コネクテッドカーも普及していきます。車両が位置情報やタイヤなどと全てが繋がるようになれば、タイヤから情報を得たり、レスキューサービスへ繋げていくことも求められるようになります。
現在のTPMSクラウドサービスはある意味で実験段階です。これがOEメーカーと一緒になると強みを増していきますので、それを一つ一つクリアしていくことが必要です。
また、航続距離が短いという電気自動車の課題に対して、重量の問題を解決するためにシングル化の動きが必ず起きてくるのではないでしょうか。これは我々のビジネスの追い風になっていくと思います」
――B2Bタイヤ事業部としての目標を。
「我々が最も重要だと考えているのはタイヤ販売店、パートナーディーラーの方々ですので、生産財タイヤを買いやすい体制にしていきたいと思っています。例えば、トラック用タイヤを販売して頂いている方に、建機用タイヤや農機用タイヤの取引条件を改善していくために取り組みも進めています。
タイヤディーラー向けの研修プログラムや同行営業なども積極化していきます。独立系のタイヤ販売店と一緒になって、トラック・バス用タイヤだけではなく、全てのタイヤを販売していけることを目指しています」