TOYO TIRE「OPEN COUNTRY」鍛え上げた本物の性能を

現状に満足せず更なるブランド価値向上へ

 ――「OPEN COUNTRY」シリーズの歴史を教えてください。

新開部長と吉川氏
商品開発本部REタイヤ開発部の吉川 誠商品開発グループ長(左)と商品開発本部REタイヤ開発部の新開 明彦部長(右)

 吉川「海外市場では40年近い歴史があり、北米で認知度が高まってきたのは2000年代初頭です。現地のマーケティング部門がピックアップトラックをドレスアップしたり、カスタマイズしたりといったトレンドを予測して開発を行い、2003年に『OPEN COUNTRY M/T』を発売しました。その後、人気の高まりを背景に、現在はオフロード性能と街乗りを両立した『OPEN COUNTRY A/TⅡ』や、ラグジュアリーSUV向けの『OPEN COUNTRY Q/T』など北米市場向けラインアップを拡充しています」

 新開「北米で『OPEN COUNTRY』シリーズは好評を頂いておりますが、中でも強みは高インチのセグメントで、『OPEN COUNTRY M/T』が特に人気です」

 ――日本での本格的な展開は。

 新開「1980年代に4×4向けに市場投入しましたが、2016年に発売した軽自動車向けの『OPEN COUNTRY R/T』から再度展開しています。その後も『OPEN COUNTRY M/T』や『OPEN COUNTRY R/T』のサイズ拡大展開を図ってきました」

 ――国内で販売している商品も基本的な採用技術は同じですか。

 吉川「サイズ展開は日本独自のものもあり、サイズに合わせてチューニングはしていますが、基本的な採用技術は変わりません。北米でも日本でもサイズやカテゴリーが同じであれば求められるものも大きくは変わりませんので、北米で支持されている“本物”を持ち込んでいます」

 ――北米の開発拠点を拡充していますが、「OPEN COUNTRY」シリーズの開発でその役割は重要になってきていますか。

東洋ゴム 北米工場
北米タイヤ事業におけるR&D拠点機能を設置している生産子会社

 新開「2017年に北米のR&D機能充実を発表してから約2年が経過し、開発体制がほぼ整ってきました。タイヤ設計基盤技術やシミュレーション技術といった根幹の部分は日本、商品開発機能は現地と役割分担をしています。市場に近く確実な情報を素早くキャッチできることが大きな強みになっています」

 ――開発で大変な点は。

 吉川「安全性や品質を担保した上で、デザインと性能を全て両立させなければなりません。特にオフロード用タイヤに関しては使用される路面が多岐にわたります。通常の乗用車用タイヤであれば、ドライとウェット、ノイズが重要視されますが、『OPEN COUNTRY』の場合はダートやロックなど過酷な環境の悪路をも考慮しなければなりません。
 アグレッシブなパターンやサイドに凹凸のあるデザインは人気が高いのですが、静粛性などは背反する性能ですし、ユニフォミティにも不利になります。それをいかに両立して、より良い性能を実現するかが難しいですね」

 新開「日本と北米ではデザインの趣向が違うこともあります。我々が『こういうデザインが力強く見えるのでは』と思っていても現地では視点が異なることもあります。ただ、北米でR&D機能が充実してきたことで、そこをスピーディに対応できるようになってきました。以前は日本との時差がある中で情報のやりとりを進めていましたが、より早いサイクルで確実な情報共有が図れるようになってきたと思っています」

 ――他社もこのカテゴリーに注力する中、TOYO TIREの強みは。

 吉川「ライバルには無いような強みやキャラクターを生み出して差別化していくことが重要です。また、我々は独自のタイヤ製造工法『A.T.O.M.(Advanced Tire Operation Module)』を持っていますが、設計やデザインの自由度が高く、大径サイズに求められる高い精度と品質で大きなアドバンテージがあると思っています」

 新開「マーケティング部門が当社の強みになっています。北米では既に『OPEN COUNTRY』シリーズを数多くラインアップしており、豊富な商品を揃えています。それはお客様のニーズを掘り起こして提案するマーケティングの強さがあるからです。
 過去を振り返れば、差別化していかなければという危機感があったからこそだと言えます。将来市場が必ず伸びていくと、現地が必死にマーケットの動向を捉えた結果、現在の高いプレゼンスにつながっています」

 ――「OPEN COUNTRY」シリーズの中期的な目標を。

 吉川「国内でもブランドを一層認知して頂き、『SUV用タイヤの世界ではTOYO TIRESがナンバー1だ』と言われる位にこのブランドを高めていきたいと思っています。
 さらに将来はミニバン専用タイヤ『トランパス』シリーズのようなレベルまで認知度を高めていきたいですね。ファンのニーズにいち早く応えて、魅力的な商品として認知して頂きたいと考えています」

 新開「まだまだ成長していける余地は大いにあると思っています。特に北米ではこのセグメントは拡大することが予測されていますので、モデルチェンジだけではなく、新たな商品で市場を切り拓いていくことも必要です。
 トレンドの変化に対して走り続けないといけない。我々が止まっていてはライバルに追いつかれてしまいますので、現状に満足せずにスピード感を持って商品開発に取り組んでいきたいと思っています」


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