インタビュー:日本ゴム産業労働組合連合本部中央執行委員長 佐藤宜弘氏  ゴム産業を魅力ある業種に

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カテゴリー: インタビュー, 特集

 ――賃上げムードはあるが物価上昇率に賃上げが追い付かないといった声も聞かれる一年でしたが振り返って。

 

 

日本ゴム産業労働組合連合本部中央執行委員長 佐藤宜弘氏
日本ゴム産業労働組合連合本部中央執行委員長 佐藤宜弘氏

自動車関連部品やグローバルに展開している大手企業は増収のところが多いが、それ以外は、加盟単組の話を聞く限り厳しい状況だと感じている。特に国内生産・販売が主流の企業(履物など)は原材料費やエネルギー費の高騰のコストアップ影響を価格転換しにくく厳しい状況が続いている。一概にゴム消費量と比例して企業の業績が良い方向とはならないのが現実である。

 23年の春のとりくみはゴム連合発足以来、最高の妥結結果だった。もちろん各単組が粘り強く交渉をした成果であると感謝しているが、企業側もエンゲージメント向上や人材確保、そして物価高のなか、頑張った従業員にできる限りの対応をしていただいた結果であったと思う。

 

 ――安全衛生に関して。

 

 18期は重篤災害はなかったが、休業災害は17期と同水準であり、減少していないことは残念である。やはり、産別としては、「安全は全てに最優先する」を基本姿勢に災害ゼロを目指し、とりくみを進めているので、重篤災害の撲滅はあたり前であり、重篤災害につながる休業災害も防止していかなければならない。

 そのために、19期では加盟単組の安全衛生担当者を集めて安全の基礎知識向上を目的とした危険予知トレーニング(KYT)を安全のプロである中災防の講師を招いて研修会(ゴム連合安全衛生研修会11月20~21日・大阪キャッスルホテル参加者33名)を開催した。

 基本的な知識・技術を再認識することで、危険に対する感性を高め、危険を見つける目を養うことにつながると考えている。ゴム連合が集計する休業災害の中身を見てみると約8割が過去に発生した類似災害であり大きな課題である。一度原点に立ち返り、組合役員の安全スキルの底上げを行い、課題解決につなげていきたいと思う。

 

 ――女性活躍推進は。

 

 18期に女性だけの会議体(特別中央執行委員・特別中央委員共同会議※特中会議)をつくった。現在、ゴム連合全体の女性組合員の比率は13%であり、17期では女性組合役員比率は8%弱であったものが、特中会議等のとりくみをきっかけに産別内の女性活躍推進の気運が高まり、18期においては女性役員比率が11%まで上がってきている。

 

 ――24年の抱負を。

 

 今年の抱負は、代わり映えはないが、まず安全に関して「安全は全てに最優先する」を基本姿勢にゴム連合に集う仲間が安全で安心して働くことができる環境を目指し、災害ゼロにこだわりをもってとりくむ。

 次に男女共同参画はゴム連合男女共同参画とりくみ方針の目標である「20期までに女性組合役員比率15%以上」の達成に向け、特中会議メンバーとともに連携を図り、とりくみを進めて行く。

 そして、注目される春のとりくみに関しては、ゴム産業を魅力ある業種にしていくために賃金だけではなく働き方においても他産別に負けないように力強い方針をたてて2024春とりくみに臨んでいく。

 最後に本年も加盟単組の皆さんがゴム連合に加盟してよかったと言っていただけるような活動を展開していく。また、理念であるゴム連合に集う全ての人々が「誇り」を持ち、「生きがい」、「働きがい」を感じ、安心して生活できる社会の実現のために精一杯努力していきたい。

 本年もよろしくお願いいたします。ご安全に。


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