日本と世界を結ぶタイヤ事業本部
全体最適で利益基盤の向上を
――新中期計画(23-27年)で、25年までを成長事業の基盤づくりの期間と位置付けた。その核としてタイヤ事業本部を24年1月1日付でスタート。西口専務がその陣頭指揮にあたることとなった。
20年に組織健康度向上と利益創出の両輪を回すための全社活動、Be the Change(ビー・ザ・チェンジ=BTC)プロジェクトが立ち上がり、私がそのチーフとして改革に取り組みました。
当社は「真のグローバルプレイヤーになる」というビジョンを打ち出し世界戦略を進めてきました。そして、全社売上の7割を海外事業が占めるようになり、会社の規模が大きくなるにつれ部門間で壁ができていました。
BTCプロジェクトを通じて課題の洗い出しを行ったところ、研究開発、生産から販売にいたるサプライチェーンの連携が十分ではないという課題がみえてきました。部門ごとには最適化を図っていたものの、全体最適という観点が乏しいまま、課題共有とその対応が進んでいなかったのです。事業としてひとくくりに見る責任者を決めないと、それぞれの組織が大きいため全体最適に導けないのですね。
技術、調達、生産、国内・海外営業、物流、アフターサービスと、各部門それぞれが頑張っています。一方でグローバル体制のもと、バリューチェーンが複雑化しました。
DX経営を通じてデータに基づいて整理し、フラットな組織運営を行うことで効率化と最適化を図り、外部環境変化に迅速で柔軟に対応できる基盤を構築しなければなりません。部門間を横断する仕組みをつくり、スピードがあり大局的な意思決定ができる体制をめざして組織化したのが、タイヤ事業本部なのです。
そもそも当社はタイヤ事業がメインの会社。その事業について今回、利益責任を持ちマネジメントする体制ができた。「組織健康度を上げる」「利益基盤をもっと上げる」、この両方をめざし組織づくりを行っていきます。
このタイヤ事業本部立ち上げを機に、私が取り組みたいことは次の2点です。一つはタイヤ事業利益の額・率の低下傾向に歯止めをかけ、反転を確実なものとすること。もう一つは、対中期計画で事業利益の底上げ策を立案し実行すること。
これを具体的にどのように進めていくのか。まずは工程間のムダを省くことと、従来取り組めていない空白領域への対策です。効率化の余地はまだまだあります。営業、ものづくり部門の協業、さらに調達とSCMもタイヤ事業本部に組み込んでいます。これでS&OPを一気通貫で見ることができるようになりました。PDCAのスピードをあげ、事業推進する考えです。
売上の7割が海外となっていますから、海外拠点のグリップも非常に重要です。そこでタイヤ事業本部に海外事業会社とのパイプ役を新設し、コミュニケーションのタクトを太く短くしました。海外各社としっかりコミュニケーションをとり、グローバルで事業の管理運営を行っています。
また、企業理念であるOur Philosophyの起点となるPurpose実現に向け、製品企画とマーケティングの強化を図り、独自技術を活かしたヒット製品の開発とグローバルでのマーケティングに注力していきます。
こうした点に注力し、成果につなげていく考えです。
(以下、本紙で記事全文と写真を掲載)