タイヤワールド館ベスト 安井仁志社長  “ワクワク”“ドキドキ”のある店づくりを =後編=

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カテゴリー: インタビュー, 特集

 (前編からのつづき)

 ECシフト主流も利益の源泉は店舗

 

 ―店舗施策については。

 

タイヤワールド館ベスト安井仁志社長
タイヤワールド館ベスト安井仁志社長

 当社の歴史は宮城・仙台を発祥としており、今後もこの場所に根づいていく。しかし、これまでの「街のタイヤ屋さん」という業態では支持を集められない。多くのユーザーに「タイヤワールド館ベストに行こう」と思ってもらうために、これからの店舗づくりは“ワクワク”“ドキドキ”がキーワードになってくると考えている。

 そのためには、タイヤを基軸にしつつも、それをいろどる周辺環境を変えていく必要がある。異業種とのコラボレーションやプロトグループの強みを生かすことも手段だろう。もちろん地域性もあり、宮城での成功モデルがほかの地域にも一律とはいかないかもしれない。しかし、宮城からモデルを発信することでFCに加わるきっかけにもなるし、新しいエリアでの出店にもつながるのではないか。

 タイヤについても、当社限定のラインアップを増やしていきたい。5月にはコンチネンタルタイヤ傘下のゼネラルタイヤブランドの取り扱いを始めた。これは当社だけで提供するタイヤブランドとなる。ほかにも交渉を進めているものもある。

 これまでの積み残しにも取り組んでいく。それが店舗のリモデルだ。店舗が陳腐化してしまうと、ユーザーの足は遠のいてしまう。今後、統廃合を含めてリモデルへの投資は必須だと考えている。利益の源泉である店舗を盤石にする必要がある。

 

 5期連続で増収増益を達成

 

 ―店舗を支えていく人材を育成し、その人材をどのようにエンゲージメントして一緒に成長していくかも重要だ。

 

 2018年に社長に就任してから5期連続で増収増益を達成した。社員も自信がついたと思うし、これまでの施策は正しかったと自負している。

 ただ外部環境には懸念がある。仙台では26年から27年にかけて半導体工場が建設される。これによって熊本で起きたような採用難が起こるのではないかと言われている。既存の社員の育成とともに離職を防ぐ施策の実施は急務だ。

 今年から全社員と1on1ミーティングと称して、どのように仕事と向き合っているか、いまの仕事を通じてどういうキャリアプランを描いているかについて、一人ひとりと話し合っている。まずは会社と社員の相互理解を深めて、目線を合わせていく。その先に研修や技術の習得を行っていきたい。

 来年4月からは評価の仕組みを変えて、個人の成績によりフォーカスした成果主義の賃金体系にする。老若男女問わず成績を残せばしっかりと評価されるという評価制度を導入することを考えている。

 

 ―これからのビジネスではDXが避けて通れない。貴社の取り組みは。

 

 EOS(自動発注システム)はすぐに導入したい。将来的にはAIを駆使した販売予測もつくりたい。前職の繊維会社では、気温が15度を下回るとタイツが売れ出すなどの法則があった。気温のほかにもさまざまな要素もあるが、タイヤにもそのような法則があると思う。それを感覚に頼るのではなく、データを活用して、高精度な予測システムを構築したい。

 昨年には商談を短縮できるタイヤワールド館ベスト公式アプリをリリースした。店員のホスピタリティなどとあわせて、質の高いサービスが反映されている。こういったことをお客様にもご納得いただけるよう、社員教育を進めている。

 

 「ベストは安全安心」が一番の使命

 

 ―冬商戦の見通しは。

 

 昨年は冬タイヤの値上げがあり、駆け込み需要で夏から冬商戦が始まった。今期はそういった外的要因はなく、11月中旬から12月中旬までの1カ月の短期決戦となるだろう。冬商戦の利益の源泉は店舗販売だ。タイヤを販売し、取りつけて初めて利益に結びつく。店舗へのより一層の集客に向け、SNSやテレビCMでの宣伝、プロスポーツや少年サッカー大会への協賛を通して来店を促進したい。少年サッカー大会への協賛は未来のお客様になってもらうこともねらいだ。

 当社は通期で10%以上の増収増益を目指しており、冬商戦の目標も同じだ。

 

 ―社員のかたがたをはじめ、皆さんにメッセージを。

 

 なんのために会社があるのか、なんのために仕事をするのか。私たちの一番の使命は、ステークホルダーに貢献することだ。社員やユーザー、取引先、こういった人たちに「ベストは安全安心」と思ってもらうことが一番だ。そのような安心感や会社への思い入れが、これから会社を継続していくうえでベースになる。継続的にステークホルダーに向けて、ベストの「安全安心」、そして“ワクワク”や“ドキドキ”といった価値を広げていきたい。


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