センシングコアの価値と可能性  定本祐氏(住友ゴム工業オートモーティブシステム事業部企画部主査)

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カテゴリー: インタビュー, 特集

 近未来のモビリティ社会実現へ(前後2回/前編)

 クルマに不可欠なソフトをめざす

 ——センシングコアの振り返りを。

 

定本祐氏(住友ゴム工業オートモーティブシステム事業部企画部主査)
定本祐氏(住友ゴム工業オートモーティブシステム事業部企画部主査)

 「センシングコアは、間接式TPMS(タイヤ空気圧監視システム)であるDWS(Deflation Warning System)をベースにしたソフトウェアです。タイヤはクルマと路面との唯一の接点であり、DWSはタイヤ空気圧の低下を検知する仕組みです。

 30年ほど前にDWSをスタートし、そこから仕組みを進化させています。車両から得られる信号を活用することで、センシングコアは機能を大きく拡張しています。タイヤ空気圧だけでなく、タイヤの摩耗状況、タイヤの荷重、路面状態の検知、車輪の脱落の予兆検知と、現時点で五つの機能を有しています。クルマの安心・安全をご提供できるソフトウェアとして開発し、一層の進化に取り組んでいるところです。

 ビジネスとしては、24年を事業化元年としてとらえ、事業化への取り組みを本格的に開始しました。新車装着のビジネスに取り組んでいます。

 国内・海外を問わず、多くのカーメーカーの皆さまから非常に高い関心をいただいています。デモンストレーションや共同での実証実験を行うなど、センシングコアの価値をお伝えする活動を行っています。

 新車には必ずセンシングコアが搭載されている、センシングコアはクルマに不可欠なソフトであるという姿をめざし新車装着ビジネスを進めています。『第6の矢』『第7の矢』として、センシングコアの機能を拡張し、ビジネス領域を拡げていきます。北米市場ではトータルフリートマネジメントサービスの実現に向けての展開を計画しています。

Viaduct社と協働イメージ
Viaduct社と協働イメージ

 当社は車両故障予知のソリューションサービスを提供する米国のベンチャー企業、Viaduct(バイアダクト)社と共同で実証実験を開始しました。Viaduct社のAIを活用した車両故障予知ソリューションサービスと、当社のセンシングコアを組み合わせることで、タイヤを含めた車両全体の故障予知ソリューションサービスの展開を行うものです。

 24年1月に米国ラスベガスで開催されたハイテク技術見本市、CES2024にセンシングコアのブースを初出展しました。Viaduct社との実証実験の相手先も決まり、どういう内容で実験を行うかなど、その成果が徐々に現れてきています」

 

 機能の拡張に応じビジネスの拡大を

 

 ——北米市場で先行する、その背景は。

 

 「フリートマネジメントサービスの使いかた・使われかたが日本市場と比べ北米市場のほうが規模として圧倒的に大きく、また進んでいるからです。

 Viaduct社は車両故障予知の技術を持っている一方で、当社はタイヤのスペシャリストです。センシングコアを活用することでお互いが補完し合うことができます。クルマのトータルフリートマネジメントサービスを展開するという目標を考えると、Viaduct社がすでに事業展開を行っている北米市場でまず始める、という考えかたです。

 サンフランシスコにセンシングコアの北米地域を担当する事務所を開設し駐在員を置き、いよいよ本格的に事業の展開を開始します」(後編に続く)


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