「東京モーターショー2017」のプレスデータ2日目の10月26日、ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、日本グッドイヤーの4社がプレスブリーフィングを開催し、将来に向けたイノベーションへの取り組みや最新技術、事業戦略を発表した。
ブリヂストン 新プロジェクトでイノベーション加速
高木光治常務執行役員、田村康之技術戦略本部長らがトークショーを行い、将来に向けたイノベーションを加速するためのR&D変革プロジェクト「コネクト50」を発表した。
このプロジェクトは同社が研究開発体制整備の一環として進めている東京・小平市の技術センターを拡充するとともに、従業員の働き方を変えることで、あらゆるアイデアにチャレンジできる拠点の構築を目指すもの。高木常務は「自動運転など100年に1度のモビリティの変革がある中、プロジェクトを通じて新しい価値を推進していく」と展望を述べた。
2020年に竣工予定の新拠点は、新しい発想を生み出すイノベーションセンターや試作品を体感できるプルービンググラウンドといった研究施設を同じ敷地内に設ける予定で、開発の効率化、迅速化を図る。田村本部長は「月曜日に生み出したアイデアを、金曜日にはテスト走行できる」とイメージを話した。
同社のエンジニアである三好茜氏は、「摩耗状態や路面状態をセンシングすることで、路面に応じてゴムやパターンが自動で変わるタイヤが実現できるかもしれない」と今後への期待感を示した。
住友ゴム 2020年代にスマートタイヤを実現
住友ゴム工業は池田育嗣社長が登壇し、未来のモビリティ社会で求められる高いタイヤ性能を開発するための技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT」(スマートタイヤコンセプト)を発表した。
このコンセプトは、従来とは別次元の高い安全性能と環境性能を持った“賢い”タイヤを実現するもの。センシングコア、エアレスタイヤアクティブトレッド等のセーフティーテクノロジーと、LCA、低燃費、長持ち等のエナセーブテクノロジー、それにシミュレーション・解析技術のコアテクノロジーを加えた3つの技術群で構成する。
池田社長は、「スマートタイヤコンセプトの実現を目指し商品の開発スピードを高めていく。2020年には性能持続技術採用タイヤを量産化し、LCA手法採用の新素材によるコンセプトタイヤを発表する予定。また2023年にはアクティブトレッドのコンセプトタイヤを発表し、あらゆる路面で乾燥路を走行するのと変わらない性能を発揮するタイヤを発表する。さらに2020年代後半にはコンセプトの全てを盛り込んだタイヤを完成させることを目標に開発を進めていく」と語った。
横浜ゴム 感動や共感を呼ぶタイヤを
横浜ゴムは2018年からスタートする新たな中期経営計画の一部を発表した。山石昌孝社長は、「当社はモータースポーツ活動や、数々のカーメーカーから純正タイヤの開発をさせて頂く中で技術力を培ってきた。この強みを活かして、プレミアムカー向けOEタイヤ開発の強化、ウィンタータイヤの技術開発強化、趣味性の高いタイヤの拡充――この戦略を中心に一層の差別化、存在感の確立を図っていきたい」と話した。
また「ハイパフォーマンスカーは非常に高い目標性能があり、イメージはタイヤのオーダーメイドに近い。この先も世界のプレミアムカーから指定されるブランドとして確立させていきたい」と意気込みを語った。
一方で「自らハンドルを握り車を操る楽しさを求める層も存在する」とし、大型SUVやクラシックカーなど趣味性の高い車両向けのラインアップを拡充していく考えを示した。その上で「クルマ文化や新技術への貢献を積極化していく。今後も多くの方々に感動や共感をして頂けるヨコハマらしいタイヤ作りをしていく」と述べた。
グッドイヤー 限界を超え、業界をリードする
グッドイヤー社アジア・パシフィックのライオネル・ラミレス消費財タイヤ部門担当副社長と、デビッド・ザンジグ製品開発部門担当副社長が登壇。ラミレス副社長は創業開始以来100年を越えるグッドイヤー社の品質と技術革新の基軸として次のように述べた。
「当社のあらゆる取り組みの中心は品質で、製品の技術革新すべてにおいて消費者を中心に考えている。この市場中心のアプローチが、長年にわたりドライバーに最先端のタイヤを提供し続けることを可能にしている」
一方、ザンジグ副社長は同社の技術革新ステップにおける“将来”と“未来”について、「次世代技術のため市場トレンドを注視する。あらゆる機能を向上し、利便性・燃費・走行距離を改善する。また、限界を超え業界をリードすることで競合他社の先を目指す。想像力を拡げるコンセプトを開発することで、技術の限界をも超える。今までにない革新的技術や新たなビジネスモデルを開拓し、技術革新を形にしていく」と意欲を語った。