ホイール・ボルト折損による大型車(車両総重量8トン以上のトラックまたは乗車定員30人以上のバス)のタイヤ脱落事故が2016年度に56件発生したことが国土交通省のまとめで分かった。前年度より15件増加し、過去10年間で最も事故が多かった。脱落事故はタイヤ交換の機会が増える冬期に多く起きており、国交省では関係団体を通じて確実な点検・整備を呼びかけている。
56件の事故のうち人身事故は3件あり、前年度より2件増えた。月別では昨年11月から今年3月までの冬期が36件と全体の6割を占めた。また地域別では北海道が5件、東北16件、北信12件、関東7件、中部5件、近畿7件などとなっており、積雪地域での発生率が高いことも分かっている。
同省が事故の発生状況を分析したところ、車輪の脱着作業から2カ月以内に起きた事故は43件と、全体の約8割を占めた。また事故の直近に行われたタイヤの脱着作業は、タイヤ交換が55%、タイヤローテーションが25%、定期点検整備が14%、臨時整備4%、増し締めが2%だった。なお、作業の実施者は大型車ユーザーが46%、タイヤ業者が36%、整備工場が16%だった。
一連の事故の主な原因として、ホイール・ナットの締め忘れや締め付けトルクの管理不足、ホイールとハブが密着しない状況での取り付けといった作業ミスが82%あったと推定されている。またホイールのボルト穴部の変形、亀裂など経年劣化が疑われるケースも1割ほどあった。
こうした中、国交省では全国タイヤ商工協同組合連合会や全日本トラック協会など関係団体に向けて車輪脱落事故防止の徹底を要請する通達を出し、各事業者へ適正作業の周知を進めていく。
また、昨年9月に中央自動車道で車輪脱落に伴う人身事故が発生するといった類似の事故が発生していることから、中型トラックについても大型車と同様に事故防止を呼びかけている。