国内外で様々な出来事があった2017年も残すところ僅か。今年は海外では景気の回復が見られた一方、国内に目を向けると、日本を代表するような企業で不祥事が相次いで発覚したほか、多くの産業で人手不足に拍車がかかるなど不安定な要素は増している。こうした状況下、タイヤ業界にとっては、どのような1年だったのか――。
■値上げに揺れた国内市販タイヤ市場
日本自動車タイヤ協会の統計によると、2017年の市販用タイヤの販売本数(四輪車用)は、10月までの累計で前年比3.4%の増加となった。
ただ、今年は2011年以来、6年ぶりとなる価格改訂が実施されたことで販売の波が大きかったのが特徴だ。特に夏タイヤの値上げ前の5月には急激な伸びを示した。値上げ実施後の6月は1割ほど販売が落ち込み、需要の先食いを懸念する声があったものの、冬タイヤの出荷価格が引き上げられる直前の8月には再び販売が急増。調査会社GfKジャパンによると冬タイヤの販売本数は8月の最終週に前年の4.5倍を記録した。
都市部では年末まで冬商戦が続くが、新商品投入が相次いだ今シーズンはプレミアムモデルの拡販にも期待がかかる。
夏タイヤでも高付加価値商品が多く発売された1年だった。ブリヂストンはSUVの新ブランドを立ち上げたほか、住友ゴム工業や横浜ゴム、ミシュランなども販売が好調なプレミアムカーをメインターゲットにした新商品を発売。また1月には韓国のネクセンタイヤが日本市場に本格参入し、プレミアムブランドとしての地位確立を目指している。設立から4年目を迎えたコンチネンタルタイヤ・ジャパンもラインアップを拡大して攻勢を強める。今後大きな成長は見込めない市場の中で、競争環境は一層激化した印象だ。
一方、販売の最前線では値上げに対して不透明な状況も起きており、タイヤ専業店の業界団体である全国タイヤ商工協同組合連合会の組合員からは「交渉をしても中々値上げができない」といった声が聞かれている。価格改定が進んだ消費財に対して、生産財ではどこまでユーザーの理解を得られるかが引き続き課題となりそうだ。(自動車タイヤ新聞2017年12月6日付け)