■相次ぐM&A 競争力高め、シナジーを
2017年もタイヤメーカーによるM&A(合併・買収)が相次いで発表となった。ブリヂストンと住友ゴム工業は海外事業の拡大を図り、横浜ゴムは国内で生産財事業を一層強化させた。
ブリヂストンはフランスで昨年のスピーディ社買収に続き、今年5月には生産財に強みを持つエイメ社を完全子会社化した。同社は欧州で小売店網の強化を戦略に掲げており、フランス国内における小売店網は900店舗以上に拡大したことになる。
住友ゴムは英国の市販タイヤ市場で年間約600万本を販売するミッチェルディーバー社を2月に買収。ファルケンブランドを中心に販売拡大を図ることで、2017年の欧州での市販用タイヤ販売量は前年比約6割増を見込む。
また、スポーツ事業では4月にダンロップブランドの商標権を英スポーツダイレクトインターナショナル社から約161億円で取得したほか、8月には子会社のダンロップスポーツを吸収合併すると発表した。スポーツ事業では全世界でダンロップブランドの展開が可能となり、将来的にはタイヤビジネスの拡大にも繋げていく。
横浜ゴムはフォークリフト用タイヤなどの製造販売を手がける愛知タイヤ工業を子会社化した。同社は生産財事業の拡大を事業戦略の中で掲げており、2016年には農機用タイヤや林業用タイヤに強い蘭アライアンスタイヤグループを買収している。
海外メーカーでもM&Aにより、ブランド力や技術力を持つ企業を取り込もうとする動きがあった。大きな話題となったのは中国のダブルスターによる韓国のクムホタイヤの買収計画だ。ダブルスターは今年3月にクムホタイヤの債権団と買収契約を結んだが、9月に価格面で折り合わず買収計画が白紙に戻った。
手薄だった事業分野をカバーして、シナジー効果をいかに発揮して更なる競争力向上に繋げていくのか。各社の今後の動きが注目される。(自動車タイヤ新聞2017年12月13日付け)