ミシュラン、生産財タイヤで攻勢 国内初の大型イベント実施

 日本ミシュランタイヤがトラック・バス用タイヤと建設機械用タイヤ、産業車両用タイヤなど生産財タイヤをトータルで提案するビジネスに乗り出した。従来はカテゴリーごとに対応していたが、今年1月に生産財を全体で運営する「B2Bタイヤ事業部」を立ち上げ、点から面に事業を拡大する体制に移行。トラック用タイヤで培ってきた戦略を活用することで、3年後には市販用タイヤで、生産財事業の売上高を2割程度引き上げたい考えだ。

建機用タイヤのユーザーイベント初開催

 日本ミシュランタイヤは長年にわたり、消費財から生産財までフルカテゴリーのタイヤを手がけてきた。ただ、生産財事業では主力のトラック・バス用を除くと人員も限られていたため、需要の取りこぼしが課題となっていた。

愛媛県で行われた小型建機用タイヤの試乗会

 こうした状況を打開するため、1月に「B2Bタイヤ事業部」を新設。生産財タイヤ全体を一つの組織で対応することで、本格的に攻勢をかけていく態勢を整備した。今後はユーザーによる意見交換会など、トラック・バス用タイヤで一定の成果をあげた活動を他のカテゴリーにも拡大する。

 B2B事業を統括する高橋敬明執行役員は、「トラック用タイヤの厳しいビジネスで得たノウハウを建機や農機にも展開することで、日本でもまだまだ販売を伸ばせる」と強気の構えだ。

 新たな取り組みの一環として、4月18日には愛媛県東温市で小型建設機械用タイヤの試乗イベントを開催した。このカテゴリーで大規模なイベントを開くのは業界でも例がないという。

 建機メーカーや農機メーカー、ディーラーなど約50名が参加した説明会ではラジアルタイヤの優位性に多くの時間が割かれた。ラジアル技術は1946年にミシュランが世界で初めて生み出したイノベーションの一つ。同社は乗用車用やトラック・バス用はもちろんのこと、以前から建機用や農機用などあらゆるカテゴリーでラジアルタイヤのメリットを強調してきた。

 一方、小型建機では今でも多く採用されているのはバイアスタイヤ。高いライフ性能や乗り心地の良さ、パンクのリスク低減による稼働率の向上といったラジアルの優位性が市場に浸透しているとはいえない状況だ。

 こうした中でも、ポール・ペリニオ社長は「絶対にマーケットの中身を変化させる」と強い意欲を示す。追い風になりそうなのは、ここ数年、ますます深刻化している人手不足への対応策としてのニーズだ。生産性向上に向けた機運がこれまで以上に高まっている環境下、同社では「こうした課題に応えるのがラジアルタイヤの活用」としており、業務の効率化とオペレーターへの負担軽減を求める顧客に対してアプローチを強めていく方針だ。

エアレスタイヤや新商品を公開

小型ホイールローダー用の新商品「クロスグリップ」

 イベントでは2019年に発売予定のスキッドステアローダー用エアレスタイヤ「X TWEEL(トゥイール )SSL」も国内で初披露した。同社が「あらゆる課題を解決できる」と自信を示す「トゥイール」は、他社にない製品として注目が高い。建機ディーラーとタイヤ販売店が一体となって採用を働きかけることで、新規顧客の開拓や将来の収益向上へ繋がることも期待される。

 同社では今後も生産財カテゴリーのラインアップ拡充を検討しており、今年9月には小型ホイールローダー用オールシーズンタイヤ「CrossGrip」(クロスグリップ)を発売するほか、2020年頃にトラック・バス用タイヤの基幹商品を上市する準備も進めている。

 高橋執行役員は「お客様のビジネスに応じて、我々が持つ全てを提案していく」と意気込みを話す。ライバルと差別化できる高性能タイヤと総合的な訴求力を切り札に、国内市場で巻き返しを図っていく。


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