仏ミシュランが理念として掲げる“トータル・パフォーマンス”の一環として、摩耗が進んでも性能を維持するという技術コンセプトを打ち出し、国内市場も含めて幅広いカテゴリーで本格展開を始めた。
同社は昨年発表した乗用車用スタッドレスタイヤ「X-ICE3+」(エックスアイス スリープラス)で1万kmを走行した状態での氷上性能を1割向上させ、性能劣化を抑えることのメリットを前面に押し出した。
また、2018年に国内市場へ投入した二輪車用タイヤ「Road 5」(ロード・ファイブ)、7月に発売した乗用車用コンフォートタイヤ「PRIMACY 4」(プライマシー・フォー)では一定のレベルまで摩耗してもウェット性能の低下を抑えることを開発の軸に据えた。さらに、数年以内に発売を計画しているトラック・バス用のスタッドレスタイヤにも同様のコンセプトを拡大する見込みだ。
一般的にタイヤ溝を深くすれば性能維持には繋がるが、初期段階で転がり抵抗性能などへ影響が出てくるため、これをいかに両立するかが課題だった。「プライマシー4」は溝の形状を新しく設計しており、「X-ICE3+」ではコンパウンドや接地圧の均等化で性能を持続させた。
ミシュラン製品は元々ライフの高さが特徴だが、これに持続性が加わることで、より長期間使用できるようになる。これまでは性能低下への懸念から、本来使用できる期間より前に交換していたケースもあったが、摩耗末期まで使い切るユーザーが増えれば環境負荷低減にも繋がる。
国内では低燃費やウェット、ライフなどで各社が開発にしのぎを削ってきたが、今後は「性能維持」もタイヤを選択する際の一つの指標になるかもしれない。