ブリヂストン ゴムの伸長結晶化を最高速で観察する技術確立

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カテゴリー: ニュース
天然ゴム伸長結晶化の観察例

 ブリヂストンは8月7日、同社の技術センター(東京都小平市)で技術説明会を開き、ゴムの伸長結晶化を世界最高速で観察する技術を確立したと発表した。天然ゴムと合成イソプレンゴムの耐亀裂性の違いのメカニズム解明に繋がることが期待される。

 天然ゴムは一般的な合成イソプレンゴムに比べて亀裂が進展しにくいという特性がある。高い耐久性が求められる鉱山車両用やトラック・バス用タイヤの原料として大きなウェイトを占めているが、その特性の違いにはゴムを伸ばした際の結晶化が関係すると考えられている。

原フェロー

 先端材料開発本部分析基盤技術開発部分析基盤技術開発ユニットの北村祐二フェローは、「天然ゴムが結晶化すると、ゴムの中に結晶の粒が入り、自己補強するような構造ができるため亀裂が進みにくくなると従来から推測されている」と話す。ただ、これまでの研究では短時間で連続的に結晶化の過程を観察することが課題だった。

 そこで、同社は大型放射光施設「SPring―8」の高輝度X線を活用した測定システムを開発。このX線は市販の装置より100億倍の明るさを持つため、少量の物質を短時間で検出することができるのが特徴。今回のシステムは独自に設計した装置でゴムを長さが1秒間に約300倍となる速度で引っ張りながらX線で照射し、その結晶化の過程をカメラで連続的に撮影する仕組み。

北村フェロー

 新システムにより、合成イソプレンゴムは19ミリ秒の段階から結晶化を始めるのに対し、天然ゴムは13ミリ秒と、合成ゴムより約30%早いタイミングで結晶化することが分かった。

 この観察技術は今後、天然ゴムの性能を最大限に発揮する材料の開発や天然ゴムを上回る高強度の合成ゴムの研究などにも活用していく方針。

 技術スポークスパーソンの原秀男フェローは、「自動運転やカーシェアリングが普及する時代になると、クルマの稼働率の向上に伴いタイヤに対してこれまで以上の耐久性や耐摩耗性が要求される」と将来のモビリティの変化について話し、強度や摩耗に優れる材料の開発の重要性を示した。


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