世界のタイヤ工場 10年で55拠点増 中国・インドの拡大目立つ

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カテゴリー: ニュース
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 米専門紙・ラバー&プラスチックニュースによると、2018年9月時点で、世界のタイヤ工場の拠点数は538カ所で10年前に比べて55拠点増加したことが分かった。米国や中国、インドなどの主要市場はいずれも拡大を続けているほか、通商リスクを回避するため中国以外の地域で新工場を建設する中国メーカーも相次いでいることが背景にあるようだ。

目立つ中国、インドの拠点拡大

 今年9月時点での世界のタイヤ工場の拠点数を国別にみると、中国は141工場と最も多く、10年前より44カ所増えた。これにインド51工場、米国46工場、タイ27工場が続いた。この4カ国を合計すると265工場となり、全体の5割を占めた。

 中国はこの10年間、急速なモータリゼーションの進展を背景に、タイヤの需要が高まっていることから、多くのメーカーが工場を新設した。

 米グッドイヤーは遼寧省にある大連工場を2011年から稼働させ、仏ミシュランも同省の瀋陽市に年産約1200万本規模の生産拠点を構えた。また住友ゴム工業が同社にとって中国で2カ所目のタイヤ生産拠点として湖南工場、東洋ゴム工業は張家港に工場をそれぞれ開設した。ほかにも韓国のハンコックタイヤやクムホタイヤ、台湾のマキシスなども生産拠点の拡充を進めてきた。

 また、経済成長が著しいインドでは工場数が10年前より11カ所増加した。特に2010年以降は現地最大手のMRF社やアポロタイヤに加えてブリヂストンやミシュラン、横浜ゴムなども続々と新工場を建設。

 インドは2020年に中国、米国に次ぐ世界第3位の自動車市場になるとみられ、これに伴ってタイヤ需要も拡大が見込まれる。ブリヂストンは約335億円を投じて既存工場と合わせて2022年までに段階的に増強を行うほか、横浜ゴムはインド工場の生産能力を現在の2.2倍に高める計画を発表している。

 大口径タイヤを中心に需要が旺盛な米国は、工場の新設とともに既存工場の能力増強も活発化している。2014年にはブリヂストンと独コンチネンタルがサウスカロライナ州にそれぞれ新工場を建設し、横浜ゴムは2015年からミシシッピ工場を操業開始した。さらに、ハンコックタイヤとクムホタイヤは2016年に乗用車・ライトトラック用タイヤの工場を新たに設け、現地での供給体制を強化している。

 住友ゴムはバッファロー工場で乗用車・ライトトラック用タイヤの生産能力を日産1万本に倍増させる。東洋ゴムはジョージア工場で5期目の拡張を実施。生産能力は年産1390万本に達する見込みだ。

 日欧米メーカー以外にも、近年は一部の中国メーカーがタイをはじめとする東南アジアで新工場を建設する動きが広がっている。中国メーカーはこれまで主に中国にある工場から海外への輸出を行ってきたが、米国などの関税措置への対策として大手メーカーを中心に海外生産にシフトしつつある。タイには中国最大手の杭州中策ゴムやリンロンタイヤ、ベトナムにはサイレンタイヤが新工場を立ち上げた。

 なお、ベトナムではカナダのカムソ、台湾のケンダタイヤも拠点を新設し、全体の工場数は10年前の2倍に拡大した。そのほか、ブラジルは3カ所増、インドネシアは6カ所増えた。


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