ホイール.ボルト折損による大型車のタイヤ脱落事故が2017年度に67件発生したことが国土交通省のまとめで分かった。また左後輪のタイヤが脱落するケースが全体の8割を占めることも明らかになった。事故は11月から3月の冬期に集中して起きており、これから冬タイヤへの交換作業がピークを迎える中、適正な作業や確実な点検がより重要になってくる。
9割は「作業ミス」が要因
2017年度に起きた大型車(車両総重量8トン以上のトラックまたは乗車定員30人以上のバス)のタイヤ脱落事故は67件、前年度から11件増えた。事故のうち人身事故は2件。月別では11月から3月の冬期に56件と多発しており、特に12月は16件と最も多かった。
同省によると、車輪脱着作業から1カ月以内に発生した事故が半数以上を占め、脱輪の主な原因のうちホイール.ボルトまたはナットの締付不良といった「作業ミス」が91%(61件)だったことも分かった。さらに事故の直前に行われた作業はタイヤ交換が66%(44件)、脱着作業の実施者は大型車ユーザーが46%(31件)と最も多かった。なお、地域別では降雪地域での事故が全体の半数以上を占め、特に北海道では前年度より2.6倍増の13件となった。
“左後輪”で事故が多発
2017年度の事故は左後輪での発生が83%(56件)と突出して多いことが明らかになっている。これは16年度も同様で56件の事故のうち87%(48件)が左後輪だった。
同省ではこの傾向について、「右折時は比較的速度を保ったまま旋回するため、遠心力により積み荷の荷重が左輪に大きく働く。左折時は低い速度ではあるが、左後輪がほとんど回転しない状態で旋回するため、回転方向に対して垂直にタイヤがよじれるように力が働くためではないか」と推定している。
また、道路は中心部が高く作られている場合が多いという。そのため、車両が路肩側に傾き左輪に大きな荷重がかかることも一因となっているようだ。その一方、前輪は異常が発生してもハンドルの振動などによりドライバー自身が気付きやすいことから事故につながるケースは少ないとみられる。
交換作業など作業が増えるこの時期、国交省では日本自動車タイヤ協会や全国タイヤ商工協同組合連合会など関連団体と協力して確実な作業の周知を進めていく。