アジア最高峰のレースで最高の技術を
4月23日~24日、三重県の鈴鹿サーキットで“アジア最高峰”と呼ばれる「スーパーフォーミュラシリーズ」が開催された。およそ20年に国内トップフォーミュラへ復帰すると同時に、初のワンメイク供給となった横浜ゴム。現地で参戦の狙いと今後の展望を聞いた。
「スーパーフォーミュラ」のタイヤには、あらゆるシーンに耐えるオールマイティさが求められる。横浜ゴムがすでに参戦している「SUPER GT」の場合、車体の荷重がタイヤにかかり続けるためグリップしやすいという。一方、「スーパーフォーミュラ」は走行中に掛かる荷重の変化が大きいのが特徴。また「年間を通じて、どのようなシチュエーションでも満遍なく性能を発揮する必要がある」(野呂政樹執行役員)。
オールマイティな性能は市販タイヤの開発にも通じるため、より有効なデータがフィードバックしやすい。すでに今夏発売予定の「ADVAN FLEVA V701」には、今回の開発で得られたデータの一部が反映されている。
また「スーパーフォーミュラ」に供給するタイヤのゴムを開発しているチームは、スタッドレスと同じメンバーであるため、レースで得られたデータをシームレスで市販タイヤの開発に活かせることも特徴だ。
今回は20年ぶりの参戦になるため、開発当初は様々なデータが足りず、ベースタイヤを作るのには苦労があったという。とくに鈴鹿では、タイヤにとって一番過酷な負荷がかかる超高速コーナー「130R」のデータがなく、他のレースで積み重ねてきたデータからシミュレーションを行い開発を進めた。その結果、「今年は信頼性と安全性を最重視したタイヤ」(同社)となっている。
ただ来年以降は、生産能力に余裕がある三島工場(静岡県)のレースタイヤ専用レーンで、供給するタイヤのラインアップを増やすことを検討している。各チームが戦略的にタイヤを選択することで、レースがさらに盛り上がっていくことが期待される。
なお初戦はTEAM無限の山本尚貴選手がポールポジションから一度もトップを譲らず、開幕戦を制した。