国内タイヤメーカー4社の2018年業績が15日出揃った。タイヤ販売の好調を背景に3社が増収を達成したものの、原油高や新興国の通貨安が利益面で重荷となった。住友ゴム工業や横浜ゴムはこれまで拡大を続けてきた中国の景気減速も響いた格好だ。2019年もグローバルでのタイヤ需要は堅調に推移すると見込まれる中、海外で供給体制が拡大することにより全社が売上増を見込む。ただ、固定費の増加などもあり、ブリヂストンを除く3社が減益となる見通しだ。
2019年の国内4社のタイヤ販売本数は全体的に堅調な動きを示しそうだ。対前年比でブリヂストンは消費財タイヤが若干の増加、トラック・バス用が1割弱のプラスとなる見込みで、超大型・大型の建設・鉱山車両用タイヤの需要も引き続き期待できる。また住友ゴムのタイヤ販売本数は全体で3%増加する見通し。特に市場拡大に注力してきた欧州が好調を維持し、昨年需要が落ちたアジア向けも回復する。池田育嗣社長は「今期の中国市場で補修用は必ず挽回する」と意欲を示す。
横浜ゴムは国内新車用やロシア市場で減少が予想されるものの、北米やアジアでの販売好調が継続するため、グローバルでは2%の伸びを見込む。TOYO TIRE(トーヨータイヤ)も2%増を計画。同社の販売のうち3割を占める北米の市販用は前年と同水準だが、国内外の新車用で2ケタの成長を目指す。
旺盛な需要に対して、これまで地域によっては供給量が不足していたが、今期ブリヂストンは北米で増産体制が整い、TOYO TIREは米国とマレーシアで増産をスタートさせる。住友ゴムも米国やトルコなどで供給を拡大し、横浜ゴムはATGの生産が増えるほか、フィリピン工場の復旧も計画通り進んでいくもようだ。
こうした環境のもと、タイヤ事業は全社が増収となる見通し。一方、利益面では住友ゴム、横浜ゴム、TOYO TIREの3社が減益を見込む。原材料価格の安定といった好材料はあるが、ブリヂストンの津谷正明CEO兼会長が「欧州はブレグジットの影響が読めない」と話すように景気の先行きに不透明さもある。為替が対ユーロで円高傾向に動くことも不安定要因だ。
また一部では増産に伴う固定費の増加や研究開発費も利益を押し下げる要因となる。ただ、TOYO TIREの清水隆史社長が「将来を見据えてR&Dの投資は継続する」とその重要性を示すように、これらは今後の成長に向けて競争力強化につながる原動力ともなってくる。収益とのバランスをいかに図っていくか、各社の取り組みに注目が集まる。