日本ミシュランタイヤが独自の商品戦略を進め、市販タイヤ市場で攻勢を図る。消費財タイヤのカテゴリーでは市場平均を上回る成長を続けている17インチ以上の大口径タイヤでラインアップを急速に拡大させているほか、生産財タイヤでは今年からトラック・バス用のワイドシングルタイヤ「X One」(エックス・ワン)のレンタルプログラムや購入サポートといったサービスをスタートさせ、新たな需要を取り込んでいく考えだ。
日本ミシュランタイヤは3月12日に都内で開いた報道向け説明会で、5月から「X One」のレンタルプログラムを開始すると発表した。「X One」は軽量化による積載量増加や燃費の改善、メンテナンス時間の短縮などが期待できる反面、イニシャルコストの高さが導入へのハードルになるケースが少なくなかった。
こうした中、同社が昨年試験的に全国の30ユーザーに向けてレンタルを実施したところ、好意的な意見が多く、新規導入につながったケースもあったことから正式なプログラムとして展開を始める。これまで「X One」を装着したことがないユーザーをターゲットに年間100件程度の利用を見込んでいる。
また既存のユーザーに対しては、「X One」とセットでの使用を推奨している軽量アルミホイールの購入費用をサポートするプランを実施する。
同社では「自社で実績が出るか不安という方や装着のイメージが沸かないという場合に2カ月間のレンタルプログラムを活用して頂きたい。また、コスト面から複数台への導入が難しいお客様にはホイールのサポートを提案する」としており、初期投資を抑えることで販売を加速させる。
さらに仏ミシュランが昨年買収した加カムソ社の製品群が国内のラインアップに加わることもビジネス拡大を後押しする。現在、両社でどのような商流が最適なのか協議を進めており、年内にはユーザーへ提案できるソリューションが鮮明になる見通しだ。
一方、消費財タイヤでも強みのプレミアムゾーンで事業を強化する。以前は国内メーカーと比べてサイズが不足していたため、販売店からの不満や需要の取りこぼしにつながっていたケースもあったが、近年はニーズに応える形でラインアップの拡充に着手。2016年4月時点では乗用車・ライトトラック用のサイズ数は600弱だったが、今年3月には1100以上と、3年間でほぼ倍増させた。
特にボリュームが増えたのはスポーツとプレミアムコンフォートのカテゴリーで、2017年に「パイロット・スポーツ4S」、2018年には「プライマシー4」と基幹商品を相次いで発表した。新車装着タイヤの大口径化が進み、その交換需要が追い風になったこともあり、昨年は17インチや18インチでは業界全体の伸び率を上回る2ケタの成長を達成した。今後、このゾーンにSUV用タイヤの新モデル投入などリソースを更に集中させる方針で、独自の戦略で販売を積極化させることで、将来的にはプレミアムカテゴリーでトップシェアを目指していく。