仏ミシュランはカナダのモントリオールで開催した「Movin’On」(ムービング・オン)初日の6月4日、新たなコンセプトタイヤ「Uptis Prototype」(アプティス・プロトタイプ)を発表した。米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同で研究を進め、2024年の実用化を目指す。ミシュランでは「2017年に発表した『Vision(ビジョン)コンセプト』の実用化への第一歩であり、持続可能なモビリティ社会への貢献という当社の使命を具現化するもの」としている。
「Uptis Prototype」は“Unique Puncture-proof Tire System”の頭字語。Visionコンセプトのひとつであるエアレスタイヤを実現し、斬新な構造や複合材料、ホイールアセンブリーによってタイヤのパンクや破裂といったリスクを回避することができる。
また、パンクや不適正な空気圧などにより、世界中で毎年約2億本のタイヤが寿命よりも早い段階で廃棄されていると指摘される中、「Uptis」は早期のタイヤ廃棄を防ぐことで、環境保全にもつながる可能性がある。ミシュランによると、ランフラットタイヤと比較して約5%軽量化できる見込みで、トレッド部は3Dプリンター技術で複数回のリトレッドが可能なため省資源化も期待される。
パンクのリスクがなく、環境面やメンテナンス性に優れるエアレスタイヤは建設機械用タイヤなどで既に製品化されているが、一般の乗用車用としては世界初の実用化となる見通し。
「Uptis」は、当初中国やインド市場などでGM社の電気自動車を対象に採用を進める方針で、その後GM社以外への納入も進めていくものと見られる。今回発表した試作品のタイヤサイズは215/45N17 84Hとなっており、規定の条件下で最高速度210km/hまで走行できることを示している。
「Movin’On」で行われたプレスカンファレンスでミシュランの研究開発部門エリック・フィリップ・ヴィネス執行副社長は、「『Uptis Prototype』イノベーションに取り組むミシュランの技術力を実証する製品である。世界の全ての人々のために、より優れた持続可能なモビリティ社会の実現に向けてミシュランはコミットを続ける」と述べた。