国内タイヤメーカー4社の上期業績 販売減や原料高響く

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カテゴリー: ニュース

 国内タイヤメーカー4社の1~6月期決算が出揃った。欧米や中国、アジアなどで販売が落ち込んだほか、石油系原材料価格の高止まりが影響して全社が営業減益となった。国内市場では年初に降雪がなかったため、冬タイヤの販売が落ち込んだことも響いた。通期業績はブリヂストンとTOYO TIRE(トーヨータイヤ)が下方修正を発表した。下期以降も米中問題をはじめとした経済の先行きに不透明感があり、新興国の一部で景気下振れリスク、国内の消費増税による需要の波が懸念される一方で、国内外で値上げの浸透や原材料価格の安定といったプラス材料もありそうだ。

2019年上期業績と通期予想(写真等の無断複製・転載を禁じます)

 上期に利益を押し下げたのは、カーボンなど石油系原材料価格の高止まりとタイヤ販売数量の減少だ。新車用タイヤでは景気が減速している中国の落ち込みも影響した。原材料による利益のマイナス分はブリヂストンが120億円、住友ゴム工業が5億円、トーヨータイヤが2億円。横浜ゴムはプラス3億円だったが、配合剤のみでは11億円の減益要因となっている。

 上期の需要環境について、ブリヂストンの菱沼直樹CFOは「欧米の一部でタイヤ需要に弱さがあった」と指摘しており、トーヨータイヤの清水隆史社長は「北米でアジアから安価なタイヤが入り、値崩れが起きている」と振り返った。

 こうした中でも市販用の大口径タイヤなどの販売は概ね好調に推移したもようで、住友ゴムは欧米でファルケンブランドが好調に推移し、横浜ゴムも北米で高付加価値タイヤの販売を伸ばした。住友ゴムの山本悟社長は「北米で高インチタイヤを現地生産していく体制を組むために増産投資を行っている。従来はスタンダードタイヤの生産が多かったが、SUV用の比率を高めて、現地ニーズに対応する」と話した。また、横浜ゴムの山石昌孝社長は、「北米で更に商品ラインアップの拡充を図る」と述べ、引き続き新商品を積極投入していく考えを示した。

 通期業績予想を修正したのはブリヂストンとトーヨータイヤの2社。ブリヂストンは北米のトラックバス用タイヤの需要などが想定を下回ったことで、売上高を期初予想から700億円引き下げたほか、営業利益を350億円、純利益を100億円それぞれ引き下げた。ただ、下期は販売が回復する見通しで、為替影響を除けばタイヤ事業の営業利益は通期で前年並みを確保できる見込み。江藤彰洋COO兼社長は「東南アジアやインドの戻り方に期待している」と話している。

 トーヨータイヤの清水社長は「米国工場で増産が始まっており、下期は計画通りの数量を取っていく」と意欲を示す。売上高は150億円引き下げたが、各利益予想は据え置いた。

 5月に固定資産の売却益を計上したことで上方修正を発表していた横浜ゴムは、国内の値上げや消費増税による仮需の影響を織り込んでいないため、第3四半期の状況を踏まえて必要に応じて対応するとしている。


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