住友ゴム工業の山本悟社長は12月17日に開いた会見で、「自動車産業は大きな変革の動きが加速しており、業界の垣根を越えた連携が活発となるなど変化のスピードが増している。さらに、デジタル化の進展や消費者ニーズの変化といった様々な外部環境の変化が予測される」と今後の見通しを述べた。
その上で、「持続的な成長とグループの体質強化に注力し、強い収益基盤を確立する。そのため、全社一丸となってコスト改善にスピード感を持って取り組むとともに、ブランド価値向上による収益力向上に注力していく」と来年以降の展望を示した。
3月の社長就任から約9カ月が経過。これまでを振り返り、技術コンセプト「スマート・タイヤ・コンセプト」の開発が順調に進んでいることや欧米市場での販売が拡大したことなどを成果として挙げ、「次のステップにつながる」と期待を込めた。一方、米中貿易摩擦の影響などで一部地域で販売が低迷したものの、「色々な手を打ち、2020年は基盤強化に取り組んでいく」と巻き返しへの決意を語った。
横浜ゴムの山石昌孝社長は12日に開いた会見で、第3四半期までのタイヤ事業を振り返り、「売上収益は前年同期を上回ったが、事業利益は上期までの生産量減少に伴う製造原価の悪化や物流関係費用の悪化、為替が円高に推移したことなどで減益となった」と説明した。
新車用タイヤは、国内では納入車種の切り替えなどで販売が低調だったほか、海外では中国で自動車生産の調整が継続したことから販売が低調に推移。一方、市販用タイヤは高付加価値商品の拡販に努めたほか、春以降の夏タイヤの販売が堅調だった。
通期の業績予想については、「事業利益は減益となる。ただ、不動産売却等により営業利益、またインド税制の改定により当期利益は増益となる見込みだ」と述べた。
タイヤ消費財事業では、国内外自動車メーカーへのOE納入実績を紹介したほか、「自動車ユーザーの趣味に対応する新商品の開発とサイズ拡充を進めた」と話した。
2020年はこれらの活動を継続することに加え、オールシーズンタイヤを国内で販売開始するほか、スタッドレスタイヤの拡販により、ウィンターカテゴリーの販売を前年比で伸ばす方針だ。
山石社長は「引き続き『プレミアムタイヤ市場における存在感の更なる向上』を目指して活動していく」と意欲を示した。
また、タイヤ生産財事業ではOHTを成長ドライバーとし、『次の100年の収益の柱へ』を掲げる中、「ATGは、印ダヘジ工場の生産能力を今年末までに従来比1.6倍まで増強し、2020年度も積極的な拡販を図る」と展望を述べた。
北米市場では、2019年に同社の事業展開50周年を迎え、年間で9商品を投入した。山石社長は「この市場を最も大事な市場の一つとして位置づけている」とし、「我々の攻略先としてOEを含めて活動していきたい」と抱負を述べた。