住友ゴム工業は良質な天然ゴムの安定調達を目指し、1月に世界最大の天然ゴム取引市場であるシンガポールで天然ゴム調達会社「SUMITOMO RUBBER SINGAPORE PTE.LTD.」を設立したと14日に発表した。新会社の所在地はシンガポール・ハーバーフロントセンター。資本金は1800万ドル(約20億円)で、従業員数は1月時点で11名。安田吉昭氏が代表を務め、4月から営業開始する。
同社によると、昨今は天然ゴムの消費量が増加する一方、アジアの主要生産国で生産量減少が予測され、グローバルでの天然ゴム調達が必要だという。また、天然ゴム業界内での統合、撤退で取引先が減少し、市場の独占や価格変動リスク拡大などの問題が生じるなど、良質な天然ゴムの安定的な確保に向けて環境が大きく変化している。
さらに、天然ゴムの生産過程での人権侵害や森林伐採が問題視されるようになるなど、持続可能な調達に向けて人権や環境にも従来以上に配慮していくことが求められている。
こうした課題を踏まえ、「良質な天然ゴムを安定的に調達するために、調達活動やGPSNR(持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム)などの活動を現地で責任を持って取り組む体制が必要と判断した」(同社)とコメントした。
従来は、シンガポールのタイヤ販売子会社内の天然ゴム調達部門で調達を行っていたが、今後は新会社が調達活動や対外的取り組みを担う。