JATMA(日本自動車タイヤ協会)がまとめた2019年のタイヤ販売本数は、新車用と市販用を合わせた四輪車用合計で前年比1.4%減の1億1440万9000本だった。前年割れは2年連続で、下げ幅は2018年(0.4%減)より拡大した。新車用は0.9%減の4394万3000本、市販用は物流費の高騰を受けて実施した値上げや消費増税の前後に需要が大きく変動し、年間では1.6%減の7046万6000本となった。全国的な暖冬傾向によって冬用タイヤの苦戦が伝えられる一方で、春商戦に目を向ければ複数のメーカーが性能をより高めた夏用タイヤの主力モデルの投入を予定しており、今後いかに巻き返していくのか気になるところだ。
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昨年の四輪車用の市販用タイヤの販売本数は2年連続で前年割れとなった。1月に一部で降雪があったものの、全体的には温暖な日が多く冬用タイヤの販売が振るわなかった。その影響から春先の夏用タイヤへの履き替えも例年に比べて盛り上がりに欠けた印象だ。
月別の販売をみると、7月と9月に大きく需要が上振れているが、これは8月の値上げ、10月の消費増税前に発生した駆け込み需要によるもの。特に7月はトラック・バス用タイヤが前年同月比66.5%増、ライトトラック用が45.7%増、乗用車用は29.7%増と各カテゴリーで大きく伸長した。
8月は反動でマイナスに転じたものの、9月にはトラック・バス用タイヤと乗用車用タイヤがともに1割のプラス、ライトトラック用タイヤの販売本数も前年を上回った。
増税後の反動減は当初から予測されていた反面、想定外だったのは暖冬による冬用タイヤの動きの鈍さだ。夏用タイヤを含めた実績ではあるものの、乗用車用タイヤは10月に2割減、11月に1割以上のマイナスとなり、シーズン終盤の12月に入っても約8%の減少と振るわなかった。
2020年もこれまでのところ、暖冬が続いており、例年のような降雪は期待できないという声が少なくない。一方で、間もなくスタートする春商戦では、多くのメーカーがプレミアムゾーンや数量が見込まれるスタンダードクラスの基幹商品を投入する予定で、市場の活性化につながることが期待されている。
昨年は新車販売台数が落ち込んだ影響で、新車用タイヤも苦戦が続き、特にトラック・バス用と乗用車用タイヤで需要減が目立った。一方、ライトトラック用は回復基調にあり、年間ではわずかながらプラスとなった。