ブリヂストンは1月31日に都内でトラック・バス用タイヤの新商品発表会を開催し、燃費性能やライフを向上させた3つの新モデルを3月から発売すると発表した。同社は商品とサービス、デジタルツールを活用したソリューションビジネスを推し進めており、その軸となる“断トツの商品”を拡充する。国内では貨物輸送量が増加する一方でトラックドライバー不足が深刻化する中、ブリヂストンタイヤジャパンの末松聡執行役員は「輸送事業者の稼働を最大化させて輸送ビジネスの成長を支えていく」と意気込みを示した。
一般道や高速道などを幅広く走行する事業者には経済性を追求したオールシーズンタイヤ「M888」を、高速走行がメインのユーザーには低燃費性能を高めた「エコピアM801Ⅱ」を提案する。発売サイズはそれぞれ16サイズ、13サイズで価格はオープン。
「M888」は接地面のブロック変形を抑制し、接地圧を均一にする新たなトレッドパターンを採用することで、従来品(M890)と比較してライフ性能を20%向上した。
また、ブロック剛性と大きさを最適化することでエッジ効果を向上させるとともに、ウェット性能を確保。さらに、空気の透過性をブロックするインナーライナーによってケーシングの耐久性を維持しているため、一部のサイズでは2回リトレッドを実現した。
一方、「エコピアM801Ⅱ」は低燃費を追求したゴムと構造を採用。ナノレベルで分子の配置を均一にコントロールできるようにしたほか、タイヤ回転時のひずみエネルギーを抑制させた。これによって摩耗性能を確保しながら、転がり抵抗は「M888」比で3割以上低減させており、燃費の改善が期待できる。
さらに今回、超偏平シングルタイヤの新モデル「グレイテックM829」も発表した。オープン価格で2サイズをラインアップする。
シングルタイヤは、国内の大型トラックで多く採用されているダブルタイヤと比べて、タイヤとホイールの合計重量が抑えられる。そのため、車両軽量化につながり積載重量を増すことが可能となるほか、廃タイヤの削減といった環境面でもメリットがある。
国内での導入事例は多くないが、日本ミシュランタイヤが10年以上前から「X One」(エックスワン)を積極的に提案しており、横浜ゴムは昨年からウルトラワイドベースタイヤ「902L」の本格販売を開始した。長距離輸送など使用形態によってはメリットが大きくなるため、ユーザーの選択肢が増え、今後市場が拡大する可能性もありそうだ。
ブリヂストンは2019年に蘭トムトムからデジタルフリートソリューション事業を買収するなどビジネスモデルの変革を加速させている。国内でも従来からメンテナンスなどを組み合わせたサービスを展開してきたが、今回の新商品投入を機にソリューション化を一層強化する考えだ。