ブリヂストン 数量減や償却費増で減益に
ブリヂストンの2019年連結業績は約2割の営業減益だった。売値や原材料がプラスに働いたものの、数量減や新興国の通貨安、工場の加工費増加などが響いた。
また、欧米で需要が高い高インチタイヤの生産体制構築や、タイで建設機・鉱山用及び航空機用タイヤの工場をそれぞれ新設したほか、トムトムテレマティクス(現ウェブフリート・ソリューションズ)の買収などに伴い、償却費もマイナスに影響した。
津谷正明CEOは、「持続的な業績を作る体質の強化はできた。足元の利益と将来の投資のバランスについても考えを進めてきたが、当期は将来に重点が移った」と総括した。
タイヤ部門の売上高は前年比3.2%減の2兆9531億円、営業利益は17.3%減の3258億円。グローバルのタイヤ販売本数は、乗用車用とトラック・バス用ともに4%減だった。アジア地域が前年を下回ったほか、新車用では北米の乗用車用が10%減、欧州のトラック・バス用が12%減と低調だった。
津谷CEOは「米国市場の乗用車用はGM社のストライキが影響したほか、高インチタイヤが想定より伸ばせなかった。トラック・バス用はOEの需要が大きく、アフターマーケットに回せない状況が続いた」と説明した。また、中国は米中関税などの影響で消費が落ち込み、補修用トラック・バス用の需要が大きく減少した。
所在地別の営業利益は、日本が24.6%減、米州が13.2%減、欧州・ロシア・中近東・アフリカが32.7%減、中国・アジア大洋州が20.5%減と全ての地域で2ケタのマイナスだった。
住友ゴム 減損損失の影響大きく
住友ゴム工業の2019年連結業績(国際会計基準)は減収減益となった。為替の影響や固定費・経費の増加が響いたほか、米国や南アフリカ、スイス工場の収益化の遅れにより、182億円の減損損失を計上した。
山本悟社長は「北米タイヤ事業では、生産性の向上とSUV用タイヤを中心に増販を進めて収益性を着実に向上させる。またアフリカ市場では生産を安定化させ、高付加価値商品の増販を進め収益向上を図りたい」と語った。
セグメント別では、タイヤ事業の売上収益は前年比0.1%減の7675億5100万円だった。事業利益は生産能力拡大のための増産投資により固定費が増加したことや為替の影響および経費の増加を受けて9.8%減の461億8300万円となった。
2019年の全体のタイヤ販売本数は1.0%増の1億2436万本だった。国内新車用は納入車種の拡大によるシェアアップや高付加価値商品の拡販により3.0%増となった。一方、市販用は暖冬の影響で冬タイヤの販売が前年を下回ったことなどが影響して7.0%のマイナスだった。
海外市場は、新車用の販売本数が7.0%増と大きく伸長した。欧米やその他新興国での納入拡大により売上収益もプラスとなった。また、海外向け市販用は全ての地域で前年を上回り、全体では1.0%増だった。アジア・大洋州地域では一部で中国の景気減速の影響を受けたものの、前年実績を上回った。欧州・アフリカ地域と米州地域でファルケンブランドの販売が伸びたため、売上収益も増加した。
横浜ゴム 売上収益、当期利益が過去最高に
横浜ゴムの2019年連結業績(国際会計基準)は売上収益と当期利益が過去最高となった。事業利益は減少したが、固定資産の売却でその他収益が増加したほか、2018年に発生した減損処理が無くなったため営業利益は増益を確保した。
タイヤ事業は、自動車販売台数が減少したほか、暖冬の影響でスノータイヤの需要が減少したことを受けて売上収益が前年比0.7%減の4516億9800万円だった。また、物流関連費の上昇や国内での有休休暇取得率向上に伴う引当金の増加で製造原価が上昇したほか、価格ミックスの悪化などがマイナスに働き、事業利益は27.3%減の307億5700万円となった。
タイヤ販売本数は全体で2%増、国内は新車用が4%減、市販用が1%減だった。海外市場は景気低迷や暖冬の影響を受け欧州が5%減、ロシアは経済の低迷もあり7%減少したものの、日系カーメーカー向けの新規納入拡大、販売施策の展開・新商品の投入で北米が3%増加した。また中国も市販用を中心に販売が伸びたため12%増、アジアが5%増となった。その他の地域は積極的な販売施策により中近東・アフリカ・中南米等で販売が伸び29%増加した。
ATG事業はオフハイウェイタイヤの市販用販売が好調だったため2ケタの増益となった。
山石昌孝社長は「消費財ではハイインチ高性能タイヤを中心に新車装着を拡大したほか、北米ではSUV向けスタッドレスタイヤを発売し好評を得た」と述べた。また生産財タイヤについて「トラック・バス用タイヤの拡販とラインアップ拡充を行った。北米も堅調な需要増を見込んでいる」と語った。
トーヨータイヤ 販売減や販管費増で営業減益
TOYO TIRE(トーヨータイヤ)の2019年業績は減収、営業減益だった。減益要因に製造コスト34億円、為替26億円、販売要因16億円、販管費15億円が生じた。清水隆史社長は「販売要因では新車向け及び暖冬の影響による計画のズレがマイナスに働いた」と述べた。また「製造コストや販管費の増加は、生産能力増強の過渡期における立ち上げ費用や、R&Dなど将来へ向けた投資に伴うもの」と説明した。
純利益は、免震ゴムの交換・改修にかかる特別損失の計上額が前期から約135億円減り40億1000万円となったほか、投資有価証券の売却益を計上したことなどにより約2.3倍となった。
タイヤ事業の売上高は前年比2.6%減の3328億3800万円、営業利益は11.7%減の413億9300万円で、タイヤ販売本数は1%減となった。
国内外新車用は前年並み、国内市販用は5%増加したものの、海外市販用は一部で供給が追いつかなかったため、全体で3%減少した。内訳は北米が1%減、欧州が7%減、東南アジアが3%減。
国内では暖冬で冬タイヤは低調だったが、SUV用やUHPなどの高付加価値タイヤが伸長したという。北米は新規ビジネスの獲得によって新車用タイヤが増加したが、これに伴って米国工場で生産する市販用の供給計画に一部ズレが生じた。
所在地別では、日本市場やその他地域で苦戦した。収益の柱となっている北米市場は売上高が0.2%減、営業利益は0.1%減とわずかながらマイナスとなった。