新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、複数のタイヤメーカーが欧州の工場で生産の一時停止や生産縮小を発表している。各国で外出制限が出されたり、自動車メーカーの生産停止が相次いだりする中、需要の急速な減少に対応する。大手メーカーでは在庫が一定量確保できているものの、正常化に時間がかかれば市場縮小への懸念が増してくる。
ブリヂストンの欧州子会社は3月23日、仏ベチューン工場と伊バーリ工場を4月6日まで停止すると発表した。また、スペインの3つの工場、ポーランドの2工場のほか、ベルギーとハンガリーの各1工場で生産を縮小するという。
生産量は減少するものの、「十分な在庫があり、物流センターや工場の倉庫は注文に応じて継続する」(同社)という。さらに、「営業を続ける地域では、適切な予防措置をとり、作業場では保険機関のガイダンスに厳密に従う。チェックリストなどで職場の安全を整備している」としている。
米クーパータイヤは23日、英メルクシャム工場とセルビアのクルシェバツ工場で一時的に生産を停止すると発表した。
2つの工場は数日以内に稼働を停止し、少なくとも3週間は閉鎖される見通し。同社では「従業員の健康を守り、需要に対応するため」と説明している。その上で、「顧客への供給を継続するため、グローバルでサプライチェーンと在庫量を管理している。世界で物流センターの稼働を継続させる」と明らかにした。なお、同社は21日に米州の工場の一時閉鎖を発表している。
フィンランドのノキアンタイヤは、23日に新型コロナウイルスの感染拡大への新たな対応策を発表した。それによると、ロシアで生産調整を行うほか、スペインで計画していた新たなテストセンターの建設を停止する予定。
また、米専門誌タイヤビジネスによると、伊ピレリは欧州の複数の拠点で生産を停止したことが分かった。ルーマニアのスラティナ工場は23日から31日まで生産を一時停止。英国では23日からカーライル工場とバートン工場が閉鎖に入ったという。
同社は22日にイタリアのセッティモ・トリネーゼ工場とボッラーテ工場の生産停止を発表しているほか、米ローム工場も順次休止している。
印アポロタイヤは欧州の2工場で少なくとも2週間、生産を縮小するもよう。蘭エンスヘーデ工場は3月27日から乗用車用タイヤの生産を停止する。ハンガリーのジェンジェジュハラース工場でも28日から全ての生産を停止する計画。
なお、同社は3月20日に新型コロナウイルスの影響拡大を受け、会長や副会長らの給与を一部自主返上すると発表している。
インドでもBKTタイヤが生産停止
インドのニュースサイト、Equity Bullsによると、農業用や産業機械用などオフハイウェイタイヤのメーカー、バルクリシュナ・インダストリーズ(BKTタイヤ)がインド政府のガイドラインに従い、同国の製造拠点を閉鎖していることが分かった。
ラジャスタン州のビワディ及びチョパンキ工場と、マハラシュトラ州のオーランガバード工場は3月22日から31日まで生産停止する。また、グジャラート州ブージ工場は22日から25日まで閉鎖するという。