乗用車などの排出ガスや燃費を調査する英国のエミッションズ・アナリティクス社は、タイヤの摩耗による汚染物質が排出ガスの1000倍に上るという調査結果を発表した。
同社が、一般的なハッチバックに、適正空気圧の新品タイヤを装着して試験を実施したところ、1kmあたり5.8gの粒子状物質(PM)が検出された。この数値は欧州の排出ガスのPM規制値である1kmあたり4.5gの1000倍以上に相当する。また、空気圧不足のタイヤなどを使用したり、路面が荒れている場合は数値が更に高くなる可能性がある。
合わせて、車重の重いSUVや電気自動車の需要増により、タイヤやブレーキパッドから発生するPMが大きな環境問題となっていると指摘。欧州では排出ガス規制が定められたことで、「現在、新車から排出されるPMはわずかであり、『非排出ガス』への懸念が高まっている」(同社)という。
非排出ガス(ノン・エキゾースト・エミッション=NEE)に、ブレーキパッド、タイヤ、路面の摩耗などにより大気中に放出されるPMを挙げ、「高品質タイヤの装着、車重の軽量化がNEEを減らす手段となる」としている。
これに対し、欧州タイヤ・ゴム製造者協会は「試験結果は一般的な走行条件を反映しておらず、実際にある過酷な運転ともかけ離れている」と反論した。さらにタイヤと路面の摩耗は、運転挙動や車両の特性、タイヤの設計、交通量など多くの要因が影響を与えるとしている。その上で「効果的に解決するためには、全ての外部要因を考慮し、関連するステークホルダーと協力する必要がある」と主張している。