トーヨータイヤ、ゴム材料開発でAIを活用 効率化とコスト低減へ

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カテゴリー: ニュース

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は4月22日、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用したゴム材料の特性予測技術、材料構造の最適化技術を開発したと発表した。今後、各カテゴリーのタイヤ開発に活用していく。

ゴムの材料構造に対する推測モデルの適用イメージ
ゴムの材料構造に対する推測モデルの適用イメージ

 新技術は、同社のゴム材料開発基盤技術「Nano Balance Technology」(ナノバランステクノロジー)の一環として開発したもの。MIはAI(人工知能)などを活用し、従来と比べて新しい材料や代替材料を効率良く導き出すことが可能となる。

 今回はソフトウェア開発企業のSASインスティチュート・ジャパンと協業した。トーヨータイヤが蓄積してきた材料のデータやノウハウにSAS社の情報科学を融合、さらに化合物データベースなど外部の情報とも連携して開発ができるようになった。これによって材料の構造から特性を予測、あるいは特性に対して材料構造の最適化を図ることが可能になるという。

 トーヨータイヤでは「新材料の開発スピードを加速し、ユニークな材料を迅速に開発することも期待できる」としている。開発過程の一部でかかる時間を約3割短縮しつつ、25%から30%のコスト削減を実現できる見込み。

 ゴム材料の開発は複雑な制御が必要となる。これまでは技術者個人の経験や勘が頼みで、実験を何度も繰り返すことによって新素材へのアプローチを行っていたため、開発には相当量の時間が必要になっていた。

 こうした中、同社では2018年よりMI技術を用いた配合と物性の予測技術の検証を本格的に取り組んできた。その後、精度を向上させ、昨年には外部情報と紐づけて対象となるデータの拡大を検証する段階に進化させた。今後は、従来にない視点で解析方法や予測データを用いて、開発を高度に最適化するMIを駆使した新素材の実現にも取り組んでいく。

 トーヨータイヤは独自の材料基盤技術「Nano Balance Technology」と タイヤ設計基盤技術「T-MODE」の両輪として、双方を連携させて高性能、高品質な製品開発を行っている。また、タイヤそのものをセンシングデバイスとして活用していく取り組みも進めており、今年2月には「タイヤセンシング技術コンセプト」を発表した。同社では「今後、ゴム材料開発において、MIを活用して高性能な製品開発と開発時間短縮・コスト低減の両立を図っていく」と展望を示している。


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