国内タイヤ4社の1~3月期業績 新型コロナで需要減響く

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カテゴリー: ニュース

 国内タイヤ4社が5月22日までに発表した第1四半期業績は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きく表れた。各国で非常事態宣言が発令されたことにより、グローバルで経済活動が停滞し、タイヤ販売本数は欧米や日本、アジアで軒並みマイナスとなった。通期業績予想は今後が不透明なことから、全社が2月の公表値を取り下げた。

国内4社の第1四半期決算概要
国内4社の第1四半期決算概要(写真等の無断複製・転載を禁じます)

 ブリヂストンの第1四半期は調整後営業利益(国際会計基準)が前年同期と比べて約4割のマイナスとなった。原材料価格や売値改善がプラスに寄与し、商品ミックスは改善が進んだものの、販売数量の落ち込みやそれに伴う加工費の悪化が大きく響いた。

 PSRのグローバル販売本数は15%減少した。市販用は国内を含めて全ての市場で2ケタのマイナスだった。ただ、18インチ以上の市販用大口径タイヤは1%の減少にとどまっている。新車用は特に北米や中国・アジア・大洋州などで落ち込んだ。

 TBRは、「都市封鎖(ロックダウン)前にユーザーが駆け込みで購入した」(広報部)という北米の市販用以外は販売が減少し、新車用を含めて全体では13%減となった。また、建設・鉱山車両用ラジアルタイヤは一部の鉱山で稼働縮小や停止の動きが見られ、超大型が8%減、大型が21%減だった。

 通期業績は「現時点で予想値の算出が困難」(同社)として従来予想を取り下げたが、中長期事業戦略も含めて今後早い段階での公表を目指す。

 住友ゴム工業の第1四半期決算(国際会計基準)は、四半期利益が前年同期の28億5500万円から62億5800万円減少して赤字に転じた。新型コロナウイルスの感染拡大による需要減、工場稼働率が81%に低下したことなどが響いた。

 事業利益は5割以上減少した。新型コロナウイルスによる影響(82億円)のほか、国内冬タイヤおよびグローバルでの自動車販売低迷に伴う新車用の需要減などが利益を押し下げた。

 タイヤの販売本数は、10%減の2651万本。市販用は国内が5%減、海外が7%減で、アジアは中国が大きく減少して18%減、欧州は10%減、北米は4%減少し、その他地域は中近東、アフリカで増販して5%増となった。新車用は国内が8%減、海外が28%減少した。

 横浜ゴムの第1四半期決算(国際会計基準)は事業利益が約7割減少した。原料価格はプラスに寄与したが、販売減や価格/ミックスの悪化、製造原価の増加のほか、北米で実施したリコール関連費用がマイナス要因となった。ATGやMB事業も減益だった。

 四半期利益は前年同期の91億2700万円から93億8500万円減少して赤字となった。

 タイヤ事業の売上収益は12.7%減の874億1000万円。新型コロナウイルスの影響による自動車の生産調整や消費活動の停滞から需要が減少したほか、国内冬タイヤなどが低調だった。事業利益は前年同期から20億200万円減少して5億300万円の赤字だった。ATG事業も需要減が響き、売上収益が17.6%減の155億4400万円、事業利益は27.0%減の17億8700万円。

 住友ゴム、横浜ゴムは新型コロナウイルスの感染拡大規模や収束時期が見通せない中、現時点で合理的な業績予想の算定が困難だとして2020年通期の業績予想を取り下げ、「未定」とした。業績予想の算出が可能となった時点で改めて開示する。

 トーヨータイヤのタイヤ事業の売上高は8.2%減の722億9700万円、営業利益は29.8%減の73億9900万円だった。販売本数ベースで、市販用は国内向けが2%のマイナスと落ち込み幅は少なかったものの、海外では主力の北米市場が12%減となった。ただ、「北米でトラック・バス用タイヤや22インチ以上のライトトラック用タイヤの需要は堅調だった」(同社)という。欧州は販売が増えたものの、市場の軟化を受けて売上高は前年同期を下回った。国内外の新車用タイヤの販売数量は18%減。

 また、地域別の営業利益は北米が4割減となるなど、新型コロナウイルスで生産調整を余儀なくされたことが響いた。

 通期業績予想は算定が可能となった時点で公表する予定。なお、免震ゴム対策費用として第1四半期に10億5600万円を特損として計上した。


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