新型コロナウイルスの感染防止のため在宅勤務が進み、働き方が変化している。タイヤメーカーでも住友ゴム工業やTOYO TIRE(トーヨータイヤ)は従来から実施してきたテレワークの対象を拡大。ネットワーク回線の増強など急遽対応を迫られた一方で、業務の優先順位の明確化や、ウェブを活用した効率的な会議運営につなげるような成果も表れてきた。
今回は図らずも様々な部門に変化をもたらしたことが特徴だ。顧客と対面でコミュニケーションが求められてきた営業部門では「接点を多く持つことを是としてきたが、ITツールを活用した面談への切り替え対応を行い、お客様にもご理解を頂いている」(住友ゴム)という。
また、開発部門でも「工場へのスペック展開も在宅で行っている。一部の試験設備は工場に備えているため、研究所の代わりに工場で試験する」(トーヨータイヤ)といった柔軟な対応も進んだ。住友ゴムは在宅勤務が長期化した場合に開発業務の遅れを懸念しつつも、「ウェブでも通常の会議と同じように行え、チャット機能で簡単に会話ができることが分かった」と成果を挙げる。
在宅勤務で課題の一つとなるのがモチベーションや時間の管理だ。これに対して住友ゴムは、就業時間や業務の進捗・成果の確認、部内や部門間のコミュニケーションなど、管理職にきめ細かいケアを行うように要請。トーヨータイヤは「顔を合わせて情報交換ができない状況を打開する」ため、チャットやウェブシステムを活用してフォローする体制を築いた。
日本能率協会の調査によると、在宅勤務を初めて体験した会社員の8割が収束後も継続を希望するなど、今後もテレワークの流れは加速していきそうだ。
トーヨータイヤは「将来に向けて多様な働き方を志向していく契機としたい」と前向きな姿勢を示す。
住友ゴムは「今までの働き方を見直すきっかけとなり、ITツールの活用が社内に浸透した」と評価する。一方でFace to Faceで行うコミュニケーションの重要性も再認識したという。その上で「今回の経験を活かし、従業員満足の高い働き方への転換につなげていきたい」と展望を話している。