住友ゴム工業は6月に発行した統合報告書2020で、2019年度の「事業活動の環境負荷低減」の取り組みについて報告した。この活動は、同社のCSRガイドラインにおける枠組みの一つで、低炭素社会の構築や循環型社会の形成などを目指すもの。
同社は生産によるCO2排出量の削減に取り組んでいる。2019年度は省エネコンサルティングを活用し、国内工場のCO2排出量は24万2000t-CO2eと前年度比5000t-CO2e減、CO2排出原単位は3.2%削減した。
2020年度は設備予知保全や省エネに影響する要因を探索・抽出・解析するためのAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)プラットフォームの導入でさらなるCO2削減に取り組む。このシステムは住友ゴムと日立製作所、PTCジャパンの協業により構築したもので、不具合個所の早期発見でエアや蒸気の漏れを減らすことや、不具合発生頻度のデータ化でメンテナンスなどの頻度を決め、故障頻度を減らすことで省エネ化に貢献する。
また、グループ会社のダンロップリトレッドサービスの2工場で生産用ボイラーの燃料転換を実施し、小野工場のCO2排出量原単位は省エネに取り組む前の2015年度比で約30%減らした。2020年度は太陽光発電設備の増設などで2015年度比半減を目指す。小野工場では2月に30kW分を増設しており、北海道工場でも増設を予定しているという。
さらに、同社グループは、2050年までに世界26工場の排水を100%リサイクルする目標を掲げている。2018年からトルコ工場でリサイクル技術の確立に取り組み、2019年夏季は排水リサイクル設備から出る濃縮水を樹木などへの散水に利用し、100%リサイクルした。年間では冬季に凍結のため散水ができず84%だったが、2020年は、冬季の濃縮水をトイレ用水に使用して100%リサイクルの達成を目指す。
インドネシア工場では、2019年度に全ての環境指標(省エネ・廃棄物・水・有機溶剤)の目標を達成し、特に有機溶剤は2019年末に17%の削減を達成した。同工場では2輪やスペアタイヤの製造工程で多量の有機溶剤を使用していたが、それらを使わない工程にするため2018年にプロジェクトを立ち上げ生産方法を改善したという。2020年は30%削減に向けて活動する。
同社では「持続可能な社会の実現に貢献し、社会から信用される企業グループを目指す」としており、今後もサステナビリティを推進する。