ブリヂストン石橋CEOが会見 強みを活かした“ソリューションカンパニー”へ

 ブリヂストンは7月8日、2050年以降を見据えた新たな中長期事業戦略構想を発表した。この中で掲げたのが「2050年にサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンだ。実現に向けて強みのタイヤ・ゴム事業を活かしながら、成長事業としてソリューション事業を一層強化する。さらに、ソリューション事業で得たリソースは、タイヤ・ゴム事業の強化につなげていく成長戦略を描く。従来の展開を継続していては持続可能な企業にはなれないという危機感から、2020年を「第三の創業」と位置付け、価値創造と競争優位性の獲得によるサステナビリティを中核に据えた戦略を進める。

石橋CEO「強烈な危機感をもって構想を組み立てている」

 ブリヂストンは中長期事業戦略構想を通じて、タイヤ・ゴム事業の強みを活かしたソリューション企業への進化を図る。8日にオンラインで開いた会見で、石橋秀一CEOは「タイヤ業界全体の利益額、営業利益率は落ちてきている」と指摘し、「当社の営業利益率も同じように下がっている。今までと同じことをやっていてはこのまま落ちていく。強烈な危機感をもって今回の中長期事業戦略構想を組み立てている」と語った。

会見する石橋CEO

 今回の構想では、独自のソリューション事業を通じて価値を創造し、競争優位性を高めることに注力する。ただ、1931年の創業(ブリヂストン1.0)や、ファイアストン社の買収でグローバル化に舵を切った1988年の第二の創業(ブリヂストン2.0)以来、培ってきた生産・販売拠点や顧客密着型サービス、ブランド力、技術力がコアであることには変わりないという。これらをベースに、DX(デジタルトランスフォーメーション)やサステナビリティといった新たな強みを生み出す。

 戦略の方向性を定めるため、社会環境やモビリティの動向などから経営環境を分析した。このうち乗用車の領域ではMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)やCASE、特にシェア(共有)やコネクテッドが大きな影響を与えると想定。「新型コロナウイルスの感染拡大を経ても、変化の方向性は基本的に変わらず、スピードは加速する。新たな変化も見極めてチャンスに変えていくことが戦略の軸となる」と述べた。

 今回構築した事業戦略では、第一にサステナビリティを経営の中核に据え、新しい社会・顧客価値の創造と差別化を図る。第二に、進化するモビリティ社会を支える様々な取り組みを「Bridgestone T&DPaaS(Tire & Diversified Products as a Solution)」とし、ソリューション事業を推進。また第三に、タイヤ・ゴム事業を強化しながらソリューション事業を進化させる計画だ。

 新たに構築するビジネスモデルでは、ベースにタイヤ・ゴム事業を据え、プレミアム戦略を推進していく。トラック・バス用タイヤ事業では、商品力やサービスネットワークの強みを強化しながら、販売ミックスの良化や市場でのさらなる強固なポジションの獲得を目指す。消費財タイヤ事業は、18インチ以上の高インチタイヤの販売強化を進めていく。

 また、こうしたコア事業の強みを活かし、さらに同社が蓄積したビッグデータを解析することで、タイヤやモビリティ全体の価値を創造するソリューション事業に繋げていく。石橋CEOは、「ソリューション事業で得たデータや新たな知見がタイヤ・ゴム事業をさらに強くする。各事業の価値が増幅し続ける」とその狙いを話す。

 中長期事業戦略構想の発表に伴い、同社は新たなブランドメッセージとして「Solutions for your journey」(ソリューションズ・フォー・ユア・ジャーニー)を掲げた。築いてきた強みを「ソリューション」に繋げていく姿勢を表しているという。

 石橋CEOは「タフな決定をしなければ戦略とは言えない。ブリヂストン3.0はやることとやらないことを明確にした上で大胆な事業再構築を実行していく。そのために独自のビジネスモデルを構築し、M&Aや事業再編、生産拠点最適化を含む施策を推進し、大胆なリソース配分を進める」と決意を示した。

 2031年に迎える創業100周年や、さらにその先を見据え、「ソリューションカンパニー」へと大きな一歩を踏み出す。


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