TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は輸送事業者向けにデジタル技術を活用したメンテナンスサービスを構築する。従来は人間が行っていたタイヤ溝の管理を自動化し、最適なタイミングでメンテナンスができるシステムの確立を目指す。将来的にはセンシング技術との連携も視野に入れ、様々なカテゴリーでソリューション展開や付加価値の向上につなげる。
近年は主要メーカーがタイヤ単体のみを販売する従来の形から、サービスやデータ管理を含めて総合的に提案することで顧客の課題解決に貢献するソリューションビジネスを積極化している。生産財タイヤでは新品とリトレッド、メンテナンスをパッケージとして提供するソリューションが定着しており、今後は更にIT技術の活用によるビジネスモデルの確立が加速していきそうだ。
ブリヂストンや仏ミシュランは欧州などで、車両やタイヤから運行データを収集し、安全運転やコスト削減につなげるシステムを運用している。一方で独自の技術力により活路を開くのがトーヨータイヤだ。
同社は7月22日、トラックやバスの運行状況に応じてタイヤの状態変化や走行情報の収集・蓄積を行うシステムを開発したと発表した。このシステムで収集したデータに外部情報を加え、AI(人工知能)を用いてタイヤの使用状態推定モデルを構築する。
同社のシステムは、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)で収集した空気圧や内部温度と、GPSの位置情報や車両の加速度情報などをリアルタイムでクラウドに蓄積するもの。タイヤへの負荷や経年変化の推定確度を高めるために必要な情報を自動的に蓄積することができるようになる。
また、より高い精度でタイヤの状態を把握するため、タイヤのスペックや外部データベースから取得した天候データなどを統合し、AIでデータの解析処理を行う。実証実験ではタイヤの摩耗度合いを、個別に実測することなくデジタル環境で推定することができるモデルを構築したという。
タイヤ管理では通常、数カ月ごとに作業員が計測機器を用いて1本ずつタイヤの摩耗状態を点検している。同社では「新しいソリューションとして、実測することなく適正にタイヤ使用状態を管理、メンテナンスしていくことができる」としており、2023年までに事業者向けに実用化したい考えだ。
なお、今回の開発はSASインスティチュート・ジャパンなどと協業して取り組んでいる。トーヨータイヤとSASは走行中のタイヤのパフォーマンスを可視化するセンシング技術でパートナーとなっていることから、今後は様々なカテゴリーのタイヤでも活用が広がることが期待される。