ブリヂストンはこのほど、2030年を目標年とした新たな環境中期目標「マイルストン2030」を公表した。事業の成長と環境影響や資源消費の拡大を切り離す「デカップリング」の考えに基づき、環境インパクトの改善と経済成長の両立、事業を通じたサーキュラーエコノミーへの貢献、カーボンニュートラル社会へ向けた商品のライフサイクルやバリューチェーン全体を通じたCO2排出量の削減に取り組む。
この目標の中で、2030年までに水ストレス地域にある生産拠点で、水リスク低減に向けたウォータースチュワードシッププランの推進や、タイヤの総原材料重量のうち再生資源または再生可能資源由来の原材料比率の40%への向上を目指す。同社が排出するCO2総量は2011年比30%減を目標とし、目標年より早く達成した場合は50%削減に向け活動する。さらに、商品のライフサイクルやバリューチェーン全体ではその5倍以上のCO2削減を目指す。
また、2012年に策定した2020年を目標年とする「マイルストン2020」の取り組みでは、取水量の2005年比35%減、製品のライフサイクル全体でのCO2排出量を、タイヤ使用時のCO2排出量削減で相殺するといった目標を前倒しで達成した。取水原単位が2005年比で40%減、資源生産性は33%向上、CO2原単位は34%減と環境効率が改善した。
レポートでは昨年に実施した主な取り組みを報告している。アルゼンチンのブエノスアイレス工場では、機器や制御方法の効率化や排水リサイクル設備の導入などにより、2019年までに取水量を2005年比で56%削減し、2019年4月から逆浸透膜処理をした排水をセメント会社ロマ・ネグラ社に1日あたり約20万リットル提供している。
また、CO2削減への取り組みの中で、タイヤ事業では2019年実績でタイヤの転がり抵抗を2005年比23%低減し、約1340万トン相当のCO2削減に貢献したという。スペインのタイヤ工場3カ所とタイヤコード工場1カ所では、2018年に使用する全ての電力を水力発電などの再生可能エネルギーに切り替えた。中国の無錫工場とインドのプネ工場では電力会社と共同で設置した太陽光発電の利用を2019年に開始し、無錫工場では昨年末までに約1500トンのCO2を削減した。
石橋秀一CEOは、「中長期事業戦略構想と連動し、新たな価値を創造していきたい」とコメントしており、同社は明確な目標や行動計画を定めた上で、環境負荷低減の取り組みを実行しており、将来に向けた目標達成への活動を加速させていく。