横浜ゴムはウルトラワイドベースのスタッドレスタイヤ「903W」を発売した。ウルトラワイドベースタイヤは、トラックの複輪を単輪に置き換えることができる超偏平シングルタイヤで、昨年秋発売のオールシーズンタイヤ「902L」に続く新商品だ。
同社によると、2018年の国内トラック・バス用タイヤ市場では、スタッドレスが46%を占めたという。近年はトラック・バス用スタッドレスの需要が増加傾向にあり、TBR製品企画室製品企画グループリーダーの岡部英俊氏は「スタッドレスは我々にとって大変重要な商品だ」と話す。
横浜ゴムでは国内の様々な要望に応えるため、通常のトラック・バス用スタッドレスでは主に北海道のユーザーを想定した「903ZW」、“履きつぶし”ニーズを満たす「SY397」など3商品を展開する。
今回の「903W」は、氷雪上性能重視型の「903ZW」のウルトラワイドベースタイヤとして、最適なパターン設計を施した。複輪の「903ZW」を「903W」に置き換えることで1軸あたり約100kg軽量化し、タイヤの総幅は約20cm短縮する。積載重量増加や低燃費化、荷室容量拡大のほか、廃棄タイヤの削減で環境負荷低減も期待できる。
「903W」のパターン設計では、多数のラグ溝を配置して雪の目詰まりを防止。ブロックエッジ量の増加により氷雪上性能を向上した。さらにZ型のブロックが、小ブロック化などによるブロック剛性の低下を補い、接地面積を確保することで、氷雪上性能と耐偏摩耗性を両立させた。
また、7本のストレートグルーブが排水・排雪性を確保し、横方向のエッジ効果によりウェットおよび氷雪上性能に貢献。氷雪上性能に効く高密度サイプも採用した。
これらの技術により、複輪装着の「903ZW」と比較して「遜色ない氷雪上性能で、さらに雪上制動・コーナリング性は向上している」(TBR設計部設計1グループの中野智也氏)という。
ケーシングには、一般的なクロスプライの4枚ベルトに加え、繋ぎ目のないスチールベルトをタイヤ回転方向に対してまっすぐに配置する独自の構造技術「SpiraLoop」(スパイラループ)を採用。従来の構造を幅の広いサイズに適用すると、センター部よりショルダー部の接地が長くなり、偏摩耗が発生しやすくなるが、スパイラループでショルダー部の成長を抑制。さらに、ベルト部のひずみも抑制して耐久性を高めた。
岡部氏は「軽量化、省スペース化による輸送効率向上に貢献したい」と意気込みを示す。発売サイズは455/55R22.5 166Lの1サイズで、価格はオープン。