新潟県糸魚川市でリトレッドタイヤを製造するトーヨーリトレッドでは、働きやすい環境を目指し、工場の整備を継続して行っている。リトレッドタイヤを製造する現場として、重たいタイヤを扱うことや、材料などの加熱に伴う室温の高さなど、労働環境は過酷になりがちだ。後藤高根社長は、「そういった問題を解消していく方向で投資をしなければ、今後は人手不足などを含め、操業が難しくなっていく」と語る。
製造設備の整備は、生産量を多くするための機械や、作業を合理化する機械の導入から始まり、10年ほど前からはタイヤ内部の傷を確認できるシアロ検査機なども取り入れている。また、タイヤの空気圧が上がったことで、高圧試験機による耐圧検査も行うようになった。「作る側から安全やサービス面を加味しながら設備を整えてきた」と後藤社長はこれまでの流れを振り返っている。
工場では、この取り組みの一環として、新しいバフィングマシンを導入した。この機械は台タイヤを一定の形状や寸法に整える作業を行うもの。新しいバフィングマシンはコンピューター制御により全自動でバフィング作業を実施することが可能だという。これまで手動で行っていた作業を自動化することで軽労化を目指す。
こういった設備投資は、品質を高めるだけではなく、工場で働く従業員の労働環境にも大きく関わる。トーヨーリトレッドでは、これまで人手不足に悩まされたことはないというが、「選ぶ立場からすると、働きやすさ、働く環境、労務条件、賃金などを比較して職場を選ぶことになる。会社としては総合的に条件を向上していかなければならない」(後藤社長)。
労働人口が減少し続ける中、ただ仕事があるだけではなく、絶えず誰かが働き続けることで事業が成立する。皆が働きたい、働き続けたいと思える労働環境を目指し、改善を大切にしているトーヨーリトレッド。この姿勢が企業としての持続可能性にもつながっていくだろう。