空気圧不足などタイヤの適正管理が行われていないケースが依然として目立っている。JAF(日本自動車連盟)のロードサービスでタイヤ関連の救援は2割前後で高止まりしており、日本自動車タイヤ協会(JATMA)が行っている点検活動でも乗用車の4台に1台が空気圧不足のまま使用されている。一方でこうした状況を改善するため、新たな訴求方法も始まっている。
JAFの2020年度上期(4~9月)のロードサービス救援件数は、前年同期比6.1%減の101万850件だった。このうち、「タイヤのパンク、バースト、空気圧不足」は11.2%減の19万4756件。救援件数自体は減ったものの、全体に占める割合は19.2%と、依然として高い水準が続いた。
こうした傾向はこの数年顕著に表れている。2010年度の同じ時期と比較すると、タイヤのトラブルに関連したロードサービス件数は4割以上増え、構成比も7.2ポイント上がった。
JATMAが4月に発表したユーザー調査によると、ドライバーの4人に1人以上が過去にパンクを経験している一方で、7割以上が「月に1回以上の点検が推奨されていることを知らない」と回答するなど、タイヤの適正な使用管理への関心の低下が懸念される。
業界団体が新たなアプローチ
JATMAは、ユーザーに対してタイヤ空気圧の適正管理を啓発するため、新たなアプローチを始めた。従来から展開してきた啓発チラシに点検手順を分かりやすく掲載したほか、路線バスなどに点検を訴求する広告を掲示して、これまで以上に幅広いドライバーへ重要性をアピールする。
同会は9月末に空気圧適正管理を啓発するポスターとチラシを作成してタイヤ販売店や関係団体への配布を行っている。今回のチラシは「タイヤ点検の方法が分からないドライバーが少なくないのではないか」(同会)という理由から、裏面に点検手順を4コマ漫画形式のイラストで紹介した。
また、10月中旬から首都圏の路線バス3社で、バス後部に啓発広告を掲示。期間は来年4月までで、初の試みとなるため、効果を検証して今後の活動に生かすという。
今年は新型コロナウイルスの影響で例年実施してきたような点検活動が中止となっている。その代替策という目的もあるが、多くのドライバーにとって“気付き”につながることが期待される。