大型車(車両総重量8トン以上のトラックまたは乗車定員30人以上のバス)のホイール・ボルト折損によるタイヤ脱落事故が2019年度に112件発生したことが国土交通省のまとめで分かった。件数は4年連続で増加し、統計のある2004年度以降で最多となった。人身事故は4件あり、このうち1名は重傷を負った。
今回の統計では、事故は10月から2月までの冬期に75件と集中しており、地区別では東北が48件と最も多かった。また、タイヤ脱着作業から脱輪が発生するまでの期間は1カ月以内が68件と6割以上を占めた。さらに、タイヤ交換作業が集中する11月に交換した車両の事故が多く、脱落箇所は左後輪が96%と集中していることも分かった。
左後輪の脱落割合が高いことの推定原因として、「左折時は低い速度であるが、左後輪がほとんど回転しない状態で旋回するため、回転方向に対して垂直にタイヤがよじれるように力が働く」ことなどが可能性として挙げられている。
こうした状況を受けて、国交省では昨年12月に「大型車の車輪脱落事故防止対策に関する調査検討ワーキンググループ」を設置し、事故原因の究明と事故防止対策の検討を行った後、10月に中間とりまとめを決定。緊急対策の確実な実施を図るため、関係する業界団体と協力して、「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」をスタートした。期間は来年2月末までで、適切なタイヤ交換作業やホイール・ナットの緩みの点検などを徹底して行うよう要請する。