ブリヂストンは12月23日、AI(人工知能)画像診断を用いたパラゴムノキの高精度病害診断技術を電通国際情報サービス(ISID)と共同開発したと発表した。
タイヤの主原料となる天然ゴムはパラゴムノキから生産されるが、産地が東南アジアに集中しており、病害リスクや栽培面積の拡大に伴う熱帯雨林の減少が課題となっている。同社では、この課題の解決に向け、病害リスク低減による天然ゴム資源の持続的な安定供給に向けた研究開発に取り組んでいる。
今回、ドローンの空撮画像をもとに現地農園スタッフによる木の病害判定に関する「暗黙知」とAI画像診断技術を融合した病害診断技術の運用試験を開始し、根白腐病(WRD)にかかった木を見分けることに成功した。
この病害診断技術では、同社の農園スタッフの「暗黙知」による判定を学習したISIDの画像解析AIにドローンで空撮した画像を取り込むことで、根白腐病の木を広域な農園内から迅速かつ高精度に見つけ出すことが可能になったという。
パラゴムノキの根白腐病は、見分けにくく、放置すると木が枯れるため、天然ゴムの収量への影響が大きい病害。同社では「有効な対策がなく拡大する傾向にある」としている。
これまでの診断では、病気にかかった木に現れる葉の付き方や色味などの特徴を、同社の農園スタッフの「暗黙知」で総合的に判断し、罹病木と判定したものを掘り起こして実施しており、個々のスタッフのスキルにより診断精度のバラつきがあった。
同社では、「罹病有無の判定を品種や樹齢に関係なく約90%の精度で実施可能であることを確認した」とした上で「収量に影響が出る前の早期に根白腐病の罹病木に手当することができ、ゴム農園の生産性向上に貢献する」としている。
ブリヂストンでは、「今後も当社独自のゴムに関する知見とデジタルを融合させることで、技術イノベーションを進化させ、様々なパートナーと連携しながら価値を共創していく」としている。