ブリヂストンは12月22日に都内で会見を開き、カーボンニュートラル(炭素中立)社会の実現に貢献する「サステナビリティビジネス構想」を発表した。CO2排出量の削減目標を2030年に11年比5割減に拡大する。従来は3割減としていたが、生産現場でのエネルギー効率の最大化や再生可能エネルギーの使用拡大、さらにタイヤの原材料に占める再生可能資源の比率を4割に高めるなどサーキュラーエコノミー(循環型経済)へ積極的に取り組んでいく。
同社は昨年発表した中長期事業戦略構想で、「2050年にもサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供する会社であり続けること」をビジョンとして掲げた。サステナビリティ(持続可能性)を経営の中核に据え、社会価値と顧客価値の創造を両立させ、競争優位を獲得する方針を示している。
石橋秀一CEOは「ソリューション事業のビジネスモデル構築、リサイクルの事業化を進める。事業全体での資源循環、CO2削減、カーボンニュートラルを実現し、それぞれの事業が循環することを目指す」とし説明し、「チャレンジングな取り組みとなるが、M&Aを視野に共創とイノベーションでこの構想を実現し、独自のサステナビリティビジネスモデルを構築していく」と意欲を話した。
その一環として、省資源化や経済性に優れるリトレッドタイヤ事業を更に推進していく。これまでは主にトラック・バス用タイヤで展開していたが、需要が伸びている小型トラック用タイヤや、将来的にカーシェアリングなどが普及した際には乗用車用タイヤにも拡大していく可能性もある。
あわせて、タイヤや車両のデータをベースにユーザーの使用条件に合わせたカスタマイズリトレッド、タイヤモニタリングシステムの活用、車両運行サポートといったデジタル技術を組み合わせたソリューションの取り組みも加速していく。
国内でもリトレッドを中心としたビジネスを強化する。東正浩COOは、「我々のソリューションでリトレッドは鍵になる。パッケージとして拡販して、3、4年後にはリトレッドの比率を現在の2倍程度に拡大したい」と展望を示した。