ブリヂストンはタイヤの原材料となる天然ゴムの持続可能な安定供給や資源の多様化に向けた取り組みを積極化している。
1月12日にビッグデータを活用した「パラゴムノキ」の植林計画最適化システムを開発したと発表した。30年以上先までの計画を最適化することで、長期にわたって農園の単位面積あたりの収量向上や平準化を実現し、天然ゴムの持続可能な供給に貢献する。
今回のシステム開発では、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構の統計数理研究所の学術指導を経て、同社のゴム農園管理に関する知見に基づき土壌や病害予防といった複雑な制約を数理モデル化。さらに、収量や面積といった農園で得た膨大なデータに、混合整数計画法という施設の配置などを検討する際に用いる手法を適用することで実現した。
これにより、持続的に天然ゴムの高い生産性を確保するために「いつ」「どの品種を」「どの程度の量で」「どこに」植林すればよいかという情報を提供できるようになる。同社では「将来的に自社農園および他の農園に展開することを検討し、世界の天然ゴム生産の持続可能な安定供給に貢献したい」としている。
また、20日にはゲノムのビッグデータ・ソリューション企業であるNRGene社との共同研究により、「グアユール」の複雑なゲノム配列を高精度に解読することに成功したと発表した。両社は2017年からタイヤ原材料のサステナブル化を目的として、グアユールの品種改良に向けたゲノム解析の研究を共同で行ってきた。
ブリヂストンでは「ゴム生産性の高い品種のグアユール開発に大きく貢献する」としており、2020年代にグアユールゴムのタイヤ材料としての実用化を目指す。
同社では「2050年には世界人口が96億人に達し、自動車保有台数は24億台を超え、タイヤ生産に必要な材料量も増えていく」と予想。また、現在のタイヤ原材料の天然ゴムはパラゴムノキから生産されており、産地が東南アジアに集中していることから、病害リスクや熱帯雨林の減少が課題になっているという。
同社は天然ゴム資源の安定供給に貢献する技術を通じて、将来に向けた環境負荷低減と持続可能な事業の両立を図る。