国交省 タイヤ脱落事故防止のためボルト・ナットの交換目安の例示へ

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カテゴリー: ニュース

 国土交通省は昨年10月16日、「大型車の車輪脱落事故防止対策に関する調査検討ワーキンググループ」における中間とりまとめを決定し、車輪脱落事故の撲滅に向けて制度化を検討する5つの抜本的対策を示した。

 まず、劣化したホイール・ボルト及びナットの使用は、ディスク・ホイールの締結力に影響すると考えられるため、①「ホイール・ボルト、ナットの交換目安の例示」を挙げた。同省では「車輪脱落事故が多発している車両の車歴・走行距離を例示して、積雪地域での交換を検討する一つの目安としてもらうことが望ましい」としている。例示方法は、告示の「自動車の点検及び整備に関する手引き」(以下、手引き)の整備の実施方法に記載することを検討している。

 次に、適切なタイヤ交換作業の実施を図り、②「タイヤ交換作業手順等の明確化」を示した。同省は「大型車のディスク・ホイールの取り外しを伴うタイヤ交換の手順を規定し、自動車使用者等が理解できるようにすることが必要である」と指摘。規定は、「手引き」の整備の実施の方法に大型車のタイヤ交換作業手順を追記することが考えられるという。

 あわせて、日常点検でのホイール・ナットの緩みの点検の実効性を高めるため、ホイール・ナットへのマーキング、またはマーカーを活用した手法も「手引き」に記載できないか検討する。

 また、ホイール・ボルト、ナットの錆・ゴミの清掃や指定油脂の塗布がディスク・ホイールの締結力確保に必要な作業であることが確認されたため、③「タイヤ交換作業の管理強化」を図る。同省では「確実な作業実施を確保するための記録を義務付け、記録管理を整備管理者の権限であることを明確化することが必要である」としており、「道路運送車両法の一部を改正する法律等の施行に伴う整備管理者制度の運用について」(以下、整備管理者制度運用通達)に追記して明確化することが考えられるという。

 ④「事故防止対策の社内浸透に向けた教育指導の充実」では、事業者内でのタイヤ交換実施者や日常点検実施者に対する車輪脱落事故防止に向けた教育や、その理解度の把握が整備管理者の権限であることを明確化する必要があるため、「整備管理者制度運用通達」に追記することを検討する。

 ⑤「整備管理者のタイヤ交換作業の管理能力確保」では、整備管理者が適切なタイヤ交換作業の管理能力を確保するため、同省では「大型車を保有する整備管理者を対象に、タイヤの脱着作業や増し締めの実習を含めた技能講習を受講させることを検討すべきである」としている。技能講習受講の方法としては「整備管理者制度運用通達」に追記することが考えられ、技能講習実施者は外部機関を活用することが望ましいと示した。

 ワーキンググループは、国交省が「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る連絡会」の傘下に2019年11月に設置した。事故原因の徹底究明と効果的な事故防止対策の検討を進めている。


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