住友ゴム工業は2月9日に開いた決算会見で、世界のタイヤ需要本数の見通しを公表した。それによると、昨年は新型コロナウイルスの影響で前年比14%減の約16億本だった。19年の水準に回復するのは22年頃となる見込み。
ただ同社の販売は、昨年は12%減少したものの、21年は19年比3%減と、世界需要(5%減)を上回るレベルで回復する見通しだ。中でも、ニーズが高まっているSUV用や18インチ以上の乗用車用といった高機能タイヤは、21年に19年比13%増まで伸ばす方針だ。
同日には、SUV用タイヤの販売が好調な北米市場に対応するため、米国工場と、輸出基地のタイ及び宮崎工場での増産投資を発表した。SUV用タイヤを中心に3拠点の生産能力を年間380万本拡大し、22~23年から供給を開始する。
米国工場には9600万ドル(約101億円)を投じ、23年末までに乗用車・ライトトラック用を年間180万本増やす。タイ及び宮崎工場へは合計108億円を投資し、既存設備をSUVやライトトラック用に置き換える。タイは23年までに年間145万本、宮崎は24年までに年間56万本の生産置換を行う計画。
なお、米国ではトラック・バス用タイヤも現在の日産1750本から24年末に日産2300本まで増強する。投資額は2600万ドル(約27億円)。
北米では15年の米グッドイヤーとのアライアンス解消後、米国工場が住友ゴムの経営管理へと転換。18年からは本格的に多品種小ロットでのファルケンタイヤの生産に切り替えたことで、コストアップに繋がっていた。19年以降は赤字に陥っていたが、販売の伸びや固定費の削減、生産性の改善で20年下半期には黒字に回復し、採算改善の目途が立ったため今回の増産を決定したという。
山本悟社長は「当社が目指しているのはグローバルで供給・サービスができる体制だ。これを新車メーカーからも強く要請されている」とした上で、「これに応えるには北米工場は欠かせないため、投資を決定した。北米市場には強い期待を持っている」とコメントした。