タイヤ脱落事故防止へ 活用広がる「インジケーター」

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カテゴリー: ニュース

 国土交通省は昨年11月から今年2月にかけて、大型車の車輪脱落事故防止キャンペーンを展開した。この期間、日本自動車工業会(自工会)は国交省と連携し、ホイールナットへの装着によりナットの緩みを確認できるインジケーターの配布に取り組んだ。適正な交換作業や点検整備の重要性は依然として変わらないものの、日常点検作業の確実性を高めるツールとしてインジケーターの取り扱いが広がっている。

インジケーター装着例
「インジケーター」装着例

 これまで自工会は、規定トルクでの締め付けや増し締めの徹底、日常点検の実施、適合ホイールボルト・ナットの使用の4ルール「お・ち・な・い」を啓発してきた。昨年には、2019年度の車輪脱落事故が112件と前年度から31件増加したことを受け、連結式ナット回転指示インジケーターの活用を始めた。

 同会では、インジケーターによって目視で緩みが確認できることから、事故の発生が集中している左後輪への装着を推進していく方針。インジケーターの装着は「あくまでも日常点検の容易性のため」(同会)としつつ、今後は大型車メーカー各社の販売店で入手可能になる予定だという。

 一方、牧野貿易商会では、ナット一つひとつに装着する「チェックポイント」を10年ほど取り扱ってきた。ここ数年は問い合わせや販売数量が増加しているそうだ。運行前点検をサポートできることに加えて、「装着する車両が増え理解が広がることで、一般の方の安心感に繋がることを期待する」(同社)としている。

様々な種類が販売されている「インジケーター」
様々な種類が販売されている「インジケーター」

 また、パーマンコーポレーションはこのほど「ゆるみチェック・ナットキャップ」を販売開始した。車輪脱落事故を防ぐ目的で企画・開発した同商品は、ナットキャップ本体とインジケーター部からなり、インジケーターの向きで緩みを確認できる。デザイン面では、「車両の見た目をきれいにしたい」というドライバーのニーズにも対応。タイヤ販売店や大型車ディーラーなどから関心が寄せられているという。

 最近では、安全自動車が「チェックリンク」を取り扱い始めた。自工会の取り組みでインジケーターによって一目で緩みが確認できると示されていたため、連結式の同商品の展開を決めた。

 車輪脱落事故の発生件数が多い東北エリアのほか、四国などからも顧客の反応が多いという。同社は事故防止に寄与するため、定期点検やトルクレンチの校正を啓蒙しながら、同商品を展開していく考え。

 自工会では事故防止に向け、インジケーターの活用と合わせ、「お・ち・な・い」の徹底や同会ウェブサイトで展開する教材などの利用も呼び掛けている。このように適正作業が肝要であることに変わりないが、インジケーターが入手しやすくなることで、点検の補助として利用されるケースも増えていきそうだ。


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