2020年にタイヤ空気充てん作業時の事故が38件発生したことがJATMA(日本自動車タイヤ協会)の調査で分かった。作業者が死亡する事故が2件、重軽傷を負った事故は13件あった。
2件の死亡事故はタイヤ専業店と自家整備で起きた。専業店ではパンクした状態で走行したホイールに新品のトラック・バス用タイヤをリム組みして安全囲いに立て掛けた状態で空気充てんを実施。充てん中にビード部がホイールのリムフランジ部を乗り越え、タイヤとホイールが飛来、ホイール部分が作業者の顔面に当たったという。安全囲いは設置していたが、事故の際は未使用だった。
もうひとつの自家整備のケースは、新品タイヤのリム組みを実施している際に起きた。7本中最後の1本を組み込み、平置きして空気充てんを実施。その後、エアゲージで空気圧測定中にロックリングが外れ、作業者の頭部を直撃。天井にぶつかった後、地面に叩きつけられ、その上にタイヤが落下した。安全囲いは設置していなかった。
昨年の事故で、パンク修理作業に関連する事故は10件。パンク走行等に伴うタイヤの損傷は13件あり、そのうち引きずり痕の未確認は2件、また引きずり痕の見落としは6件あった。また安全囲いを使用していなかったケースは18件、特別教育未受講は12件だった。
一方、安全囲いを使用していても重傷を負う事故もあった。ユーザーが持ち込んだ中古タイヤをリム組みし、空気充てん完了後に車両に取り付けるために移動していたところサイド部が破裂したという。引きずり痕は無かったが、パンク走行等によりタイヤが損傷していたことが原因と考えられる。
昨年の事故をタイヤの種類別でみるとトラック・バス用が15件、ライトトラック用が13件と多くを占め、乗用車用が6件と続いた。また、事故が発生した業態別では専業店が21件、修理工場が9件などとなった。
なお、空気補充中の事故はSSで1件あり、トラック・バス用タイヤのサイド部が破裂して作業者は重傷を負った。
痛ましい事故を少しでも減らしていくためには、業界全体で適正作業と法令順守の徹底が一層強く求められる。