ブリヂストンは4月13日、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、航空機用(AP)タイヤと建設・鉱山車両用(OR)タイヤの「モノづくり領域」で匠の技を伝えるシステムをノビテックと共同で開発したと発表した。デジタル技術を活用してAPやORタイヤの成型作業に必要な暗黙知を定量化し、熟練技能員の匠の技を確実かつ効率的に伝承することが可能になる。
昨年からそれぞれAPタイヤとORタイヤを生産する久留米工場および北九州工場で導入しており、さらに、今年上期中にタイのAPタイヤ工場にも展開する計画。
過酷な使用環境に対応するため高品質・高性能が求められるAPタイヤとORタイヤは、タイヤメーカーの総合的かつ高度な技術力が求められる。同社では「多くの部材で構成され、成型工程の作業数は一般的な乗用車用タイヤの15倍以上で、高度な熟練スキルが求められる」としている。
また「成型作業における不具合は製品不良に直結し、安心・安全なオペレーションを支える商品を供給できなくなる」とした上で、「匠の技を確実に伝承していくことが、最適なグローバル供給体制の構築に向けて課題となっていた」という。
この課題解決に向け、デジタル画像の計測と解析に強みを持つノビテックと協力して作業をデータ化し、定量的に分析・評価できる教育システムを開発。ブリヂストンでは、新人技能員などの技能訓練に活用し、熟練技能員の匠の技を伝承する仕組みを構築している。
このシステムでは、成型作業の動きをモーションカメラや慣性・圧力センサーで計測し、新人と熟練技能員の差を作業ステップごとに可視化して評価する。低評価のステップがあれば、繰り返し訓練することで効率的に技能を習得することができるという。